2025年、「円高」は続かず「円安」が再びやってくる アメリカ「利下げの終わり」と日銀「利上げの終わり」

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まとめると、FRBの利下げは2025年1~3月期に1~2回、同じ期間に日銀が利上げ方向に動けるとしてもやはり1~2回程度に収まるのだろう(日銀については後述する)。

その結果、「日米金利差の縮小とこれに応じた円高・ドル安というわかりやすい地合いが保証されているのは年度内(2025年3月まで)」というのが筆者の現状認識である。

なお、ここまでの議論においては第2次トランプ政権の挙動に関しては予断を持てないため、あえて言及を避けた。しかし、トランプ氏から予告されているポリシーミックスがインフレ誘発的であることは疑いの余地がなく、もとより堅調な実体経済も相まって、利下げ回数が限定される展開に構えるのが合理的であろう。

こうした状況を踏まえれば、2025年はアメリカの「利下げの終わり」が争点化する年になると考えられる。アメリカの金利の軌道に限って考えるだけでも、2025年半ば以降の円安再起動を予想するのが合理的と考える。

日銀利上げは「春闘&アメリカ」で3月か

かたや、日銀の政策軌道をどう検討すべきか。

12月19日に開催された日銀金融政策決定会合は3会合連続で政策金利を0.25%で据え置いた。7月・10月の展望レポートで想定された通りの経済・金融情勢が確認されており、田村審議委員が0.25%ポイントの利上げ提案を行ったことは首肯できる動きであった。

それでも現状維持に至った背景として植田日銀総裁は「賃金と物価の好循環の強まりを確認するうえで、春闘などもう少し情報が必要と考えた。米国など海外経済の見通しも不透明で、米国政権の経済政策に対する不確実性もある」と回答している。

つまり、「2025年の春闘」および「第2次トランプ政権にまつわる不透明感」がある以上、決断はできないという説明であった。

率直にいって、これら2つの不透明感が1月24日の次回会合で払拭されている可能性は高くない。金融市場における追加利上げの織り込みは「12月or1月」から「1月or3月」へシフトしており、上述の2つの不透明感に照らすのであれば3月の合理性は高いようにも思える。

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