2025年、「円高」は続かず「円安」が再びやってくる アメリカ「利下げの終わり」と日銀「利上げの終わり」
ただし、植田総裁は賃金動向に関し、必ずしも春闘の集中回答日を意味しないとも述べているため、3月決め打ちは危険である。
市場で注目された11月30日の日経新聞による単独インタビュー記事でも植田総裁は「賃金でいえば、2025年の春闘がどういうモメンタムになるか。それはみたい。そこは確認にもう少し時間がかかるが、それを待たないと金融政策が判断できないわけではない」と述べ、春闘の結果が見えずとも政策変更に踏み切る可能性を否定していない。この点、12月会見の言動と一致している。
世の雰囲気を見る限り、集中回答日を待つまでもなく2025年も2024年並みの強い結果を期待するのは不思議ではない。
例えば11月下旬には上場企業の2024年4~9月期の純利益が4年連続で過去最高となったことが報じられた。順当な賃上げを期待しやすいムードは感じられるし、それに応えるだけの原資もありそうではある。
マクロ統計からもそれは確認できる。
値上げの分配が企業から家計へ還元されていく
例えば、輸入コストの影響を除いたホームメイドインフレの指標であるGDPデフレーターは過去3年で明らかに騰勢を強めている。
ここで実現された値上げ部分は企業部門か家計部門か、いずれかに帰属することになる。
経済分析の観点からは企業部門に帰属するのであれば営業余剰に、家計部門であれば単位労働コストとして解釈することになる。
2022年4~6月以降のGDPデフレーターの前期比変化率の累積は約21%ポイントだが、同じ期間の営業余剰の累積は約15%ポイントだった。すなわち、今次円安局面の値上げで得られた収益の7割程度が企業部門に分配され、3割程度が家計部門に分配されている。
2023年後半以降、家計部門への分配が漸増する兆しはあるが、値上げ部分の大きさを踏まえると十分という印象もない。2024年の春闘に象徴される賃上げ機運は「2022年以降の値上げを還元した結果」と整理できなくもない。
2025年も、同じような文脈で企業から家計への還元が持続するのではないか。こうした認識の下、3月や4月を待たずとも1月会合時点で「
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