東洋大学では、経済学部で数学必須の入試を実施しています。
「文系なのに数学なんて」と敬遠する受験生も多いかと思いますが、経済学を学ぶために数学は極めて大切だからと、同大はこの入試に力を入れています。これもまた、進学後の学生の学びを考えての方針でしょう。
すなわち、こうした入試の議論を突き詰めていくと、どのような学問領域でも「基礎学力も大事だが、意欲や資質も大事」のように、複数の要素が大切だという結論に辿り着くことが多いのです。
現在は知識・技能、思考力・判断力・表現力、 主体性・多様性・協働性を合わせて「学力の三要素」と呼びますが、まさにこれら各要素に一定の意味があるということですね。もちろん学問によっても、また学生それぞれにおいてもバラツキはあって然るべきですが、「いずれか1つだけがあれば、ほかの要素は不要」というケースは稀です。
そう考えると、私大入学者の過半数が年内入試で進学している現状と「学力試験を行う場合は2月から」というルールは、必ずしも学生によい結果をもたらしていないように思えます。今回の東洋大学、大東文化大学を巡る議論の大元にこの入試ルールがあるわけですが、現状の仕組みは必ずしも、学生達にとってベストではないのではないでしょうか。
高校側には、高校での学びの積み上げをきちんと評価してくれる入試であってほしい、という思いが強くあると思いますが、年内入試で基礎学力が軽視されてしまう現状は、高校側にとっても望ましい形ではないはずです。
とくに年内入試については、その必要性や望ましいあり方を、高大の間で改めて議論するべきと私は思います。学生確保や指導の都合ももちろん大切ですが、入試は学生のために行われるもの。学生たちを後悔させないような施策を望みます。
(注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)
