小規模ワイナリー、経営が苦しくても新規参入? 『データで広がる日本ワインの世界』書評

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『データで広がる日本ワインの世界 ワインエコノミクス入門』原田喜美枝 著
データで広がる日本ワインの世界 ワインエコノミクス入門(原田喜美枝 著/日本評論社/2640円/232ページ)
[著者プロフィル]原田喜美枝(はらだ・きみえ)/中央大学商学部教授。日本ソムリエ協会ワインエキスパート。大阪大学卒業。東京大学大学院で博士号(経済学)取得。財務省財政制度等審議会財政投融資分科会などの委員を歴任し、現在は財務省関税・外国為替等審議会委員も務める。

ワイン好きの評者はまず本書のタイトルに心を惹(ひ)かれた。休暇や仕事で山梨県や長野県など、日本のワイン産地に旅行することがあれば、旅先での食事の際には現地のワインを選ぶようにしている。近年はそうした機会に飲む日本ワインの実力に感銘を受けることが多い。とくにシャルドネ系の白ワインは、欧州や新世界(北米、南米、オセアニア、南アフリカなど)の同価格帯のワインに勝るとも劣らない優れたものに出合うことがしばしばある。

データと経済学の観点から「日本ワイン」を語る

本書は、多くのワイン好きが肌感覚で認識してきた「日本ワインとそれをとりまく環境」について、客観的なデータを用い経済学の観点から記述している。取り上げられているトピックは、日本におけるワインの生産と消費、日本のワイン産業、ワインの地理的表示、ワインと金融、ワイン貿易、ワインの統計、ワインの税金である。これらについて著者は、経済学、統計学やワインに関する諸制度の専門知識を持たない読者にもわかりやすく、基礎から解説している。

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