時間外勤務が約半分に、守谷市の「週3日5時間授業×教科担任制×部活動改革」 支援人材も市費で積極採用して教員の負担軽減
「部活動改革」も組み合わせて時間外勤務を大幅削減
ただ、中学校では5時間授業の日も部活動の時間が長くなるだけで、実は教職員の働き方改革はあまり進まなかったという。そこで2022年度からは「部活動改革」も開始した。
部活動の時間を1コマ50分とし、3シーズン制を導入。基本となる「スタンダードシーズン」では、5時間授業の月・水・金は2コマ100分、6時間授業の火曜日は1コマ50分で実施し、木曜日は部活動なし、土日はいずれかに3時間程度の実施としている。11月~1月末は「オフシーズン」とし、木曜日に加えて火曜日も部活動なし。一方、総合体育大会や新人体育大会3週間前の「チャレンジシーズン」は木曜日を除く平日は各2時間、土日はいずれかに3時間程度とし、メリハリのついた活動が行えるようにした。

この改革により、スタンダードシーズンやオフシーズンには部活動がある日も16時50分には生徒が下校するようになり、教員は17時ごろには職員室に戻れるようになったという。2021年6月には79時間だった中学校教員の時間外勤務時間の月平均は、2024年6月には43時間にまで減少し、働き方改革としても成果が出ていることがうかがえる。
当初は時間短縮により部活動の実績が下がることを心配する声もあったが、2023年度の総合体育大会の成績は前年度から下がることなく、「限られた時間を有効に使おうという意識が生徒に芽生え、練習への集中力も高まったのではないか」と古橋氏は見ている。
ただ、2024年9月の時点では中学校の52の部活のうち、外部コーチへの委託を行っているのは18の部活動に留まり、外部移行率は34%と道半ばだ。
「学校の部活動はクラブチームの活動とは異なり、勝つことを目的とするものではなく教育活動の一環なので、そのことを理解していただける委託先を選定しているため、外部人材の確保は難しいところがあります。また、吹奏楽部など、活動場所が校舎内に限られ安全面で注意が必要な部活動の外部委託をいかに進めていくかが今後の課題です」
小学校高学年で「教科担任制」導入、市費で専科教員を配置
「守谷型カリキュラム・マネジメント」を開始した翌年の2020年度からは、小学校高学年で「教科担任制」も導入した。教員の負担軽減と、より専門性の高い授業を通じた児童の学力向上を狙いとしている。具体的には、図工・音楽・理科の専科教員を各校に市費で配置。それに加えて、現在は英語の専科教員を市内の小学校9校のうち5校に県費で配置している。
これにより、高学年の教員には週6時間程度(英語の専科教員が配置されている学校では週8時間程度)の空き時間が生まれた。ただ、中学年の教員の負担感は変わらなかったため、高学年の教員が空き時間の一部で中学年の書写や英語などの授業を受け持つようにした。その結果、中学年と高学年の教員がいずれも平均して4~5時間程度の空き時間を持てるようになり、時間外勤務の減少につながったという。
児童へのアンケートでは92.8%が「専科教員の授業はわかりやすくて面白い」と回答。古橋氏は「高い専門性が必要とされる教科の授業を多くの児童が楽しいと感じているのは、一定の成果」と見ている。
中央教育審議会の「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)」では、教科担任制を中学年まで拡大することが盛り込まれたが、実際に県費の予算配分が拡大すれば、「現在は市費で雇用している高学年の専科教員を県費で採用し、市費を中学年の専科教員採用に当てることもできるかもしれない」と古橋氏。現在、定年退職した元教員への声がけや公募を通じて専科教員を集めているが、今後も人材確保に努めていくという。

















