グランドセイコーがロレックスを追撃できた理由 日本の職人技が世界最大のアメリカで高い支持

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オメガから社長招聘し、ブランド再構築

グランドセイコーは日本では1960年から展開しており、中高年のビジネスマンを中心に高級時計としての高い認知を誇っていたが、アメリカでのセイコーは中価格帯のクオーツ時計のイメージが強く、百貨店での販路が中心だった。

「まず高級時計の扱い方を変える必要があった」。セイコーウオッチでマーケティングを統括する柴﨑宗久取締役はアメリカに駐在していた当時を振り返る。

セイコーウオッチのマーケティングを統括する柴﨑宗久取締役は1960年代初期の「グランドセイコー」を現在も愛用(記者撮影)

アメリカでオメガのトップを務めた経験を持つブリス・ル・トロアデック氏をグランドセイコーの米国販社の社長に招聘。ラグジュアリー業界とのコネクションを活用して新たな販路を開拓。高級時計には過度なセールによる訴求が許されないため、従来から流通を大幅に絞り、これまで取引がなかった時計店にも新たに売り込んでいった。

同時にグランドセイコーの直営ブティックも新設した。最初に旗艦店を置いたのがロサンゼルスの高級住宅街ビバリーヒルズだ。開放的な雰囲気のある西海岸を中心に、アメリカの消費者は新しい技術を積極的に受け入れる傾向が強い。高度な職人技を打ち出したブランド戦略は奏功し、支持が全米に広がっていった。

2024年2月には満を持してニューヨークの高級ブランド街として知られるマディソン・アベニューに世界最大の旗艦店をオープン。約580平方メートルにも及ぶ広大な店舗では、グランドセイコーの世界観を直接体験できる。

セイコーの主導でこうした直営店での販売強化を進め、2024年10月現在、国内外で24店舗を展開している。

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