オムロン、製造業での教育ビジネスで先駆者に 生産技術の高度化や経済安全保障で追い風

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入門的な教育に限らず、応用や発展にまでカリキュラムを用意するのも社会的な需要を反映している。単に効率よく製造できればいいという時代ではもはやなく、SDGsやカーボンニュートラルへの対応も求められているからだ。伊藤氏は「生産時のエネルギーマネジメントのように、データを分析しながら生産ラインを運営・調整していくデータアナリストのようなスキルも必要となってきている」と話す。

将来に向けた種まきになるか

基礎的な教育が多い新興国でもいずれ生産技術の高度化に合わせた教育需要は伸びるとみられる。たとえばインドでは日米中などでは自動化が進んだ液晶パネルの工場でも多くの人が入り、生産活動に従事している。人件費が安いためだが、いずれ品質管理の強化や自動化が進めば、それに合わせた生産技術の高度化による教育ニーズも出てくるとみられる。

オムロンにとっても教育事業はFA機器販売を伸ばすための種まきになる。生産現場の技術者のスキルがあがり、製造への理解が深まるほど新しい生産機器や自動化製品を導入する動きがボトムアップで広がる可能性がある。朝岡氏も「安全・セーフティに関する意識が高まって、安全管理ができるようになったら自動化機器を導入するというサイクルに入ってくれるのではないか」と見通す。

2024年3月期の純利益が89%減で、構造改革の一環で人員削減も行っており、オムロンは厳しい状況が続いている。最大の要因はFA事業で、中国を中心に特定の大口顧客に売り上げを依存していたことだ。その点でも長期的に顧客の分散化につながることを教育事業では期待できる。

教育事業自体は1年間の検証期間を含めて開始からまだ3年目。教育事業自体も順調に成長して、それが屋台骨のFA機器の販売につながる好循環を生み出せるか。ポテンシャルは十分にある。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

東洋経済編集部員・記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。現在は、特集や連載の企画・編集も担当。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。早稲田大学台湾研究所招聘研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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