「若手教師に寄り添う」のがうまい中堅教員は何が違うか、実践に学ぶヒント 即「ジャッジを下す」はNG、共に悩み乗り越えて
心がけたいのは、研究授業当日だけでなく、研究授業までの過程を含めてフィードバックすることです。そうすれば、若手さんに「研究授業は、そのときだけパフォーマンスを発揮できればよいわけではなく、それまでの学習の積み重ねが大切なんだ」ということを、肌で感じてもらうことができるでしょう。
さて、多くの若手さんが恐れているであろうことの1つに学級崩壊があります。少しでもその兆候が見え始めると、あれよあれよという間に若手さんの元気がなくなっていきます。
理想は早期発見&早期対応ですが、若手さんの手に負えないようであれば、迷わずチームで対応します。もうこの時点ですでに若手さんは十分申し訳なさと、うしろめたさを感じているはずなので、「なぜ、そうなってしまったの?」などとさらに追い詰めるようなことを言うのは避けなければなりません。
伝えるべきは「大丈夫だよ、みんなで支えるからね」であり、つまずいた状態から再び立ち上がれるようにするきっかけをつくることです。
学級は、ある日突然崩壊するわけではありません。必ず何らかの兆候があります。例えば、教室にごみが落ちていることが増えたり、ロッカーの上が散らかってきたり、保健室に行く子や授業中にトイレに行く子が増えたりするといった兆候です。クラスでこのような様子が見られたとき、ミドルさんが取る行動は次の2つのパターンに分かれます。
・兆候を口で伝えるだけで傍観する
・兆候を伝えると同時に自分も動く
前者のミドルさんは「先生のクラスのロッカー、最近散らかっているでしょ。あれ、まずいよ。早めに何とかしないと」と伝えるだけです。内心「あとは任せたよ。だってもう初任者じゃないんだから、それくらい自分で考えて何とかしてよ」というスタンスです。担任自身による成長に期待しているのでしょうが、若手さんは救われません。
一方で、後者のミドルさんは次のように伝えて若手さんを支えようとします。「先生のクラスのロッカー、最近散らかっていて気になるんだ。学級が荒れ始める前に、早めに対処しておいたほうがいいから、今日クラスの子どもたちに話をしておいたよ。先生からも明日話をしてみたら?」。
若手さんが、安心して次の一歩を踏み出せるようにしてあげましょう。
4〜5年目の若手さんへの寄り添い方

先輩から「あれやった?」「これやった?」と確認してもらう段階を卒業すると、今度は自分の仕事の質が気になり始めます。
ミドルさんとしては「特に言うことがないくらい十分にできている」からこそ、何も言わないだけなのですが、若手さんとしては「何も言われない」ことに対して不安を感じることがあるようです。この段階になると私は、「いよいよ一人前になり始めた証拠だな」と感じて、うれしい気持ちになります。
このような悩みや不安を覚えるのは、周りを見渡す余裕ができて視野が広がり、他者の立場に立って自分の仕事を振り返ろうとしているからです。そこで、若手さんに対しては「あなたのおかげですごくいい行事になったよ。ありがとう。特に子どもたちのやりたいことをバックアップしてあげたところがよかったね」などとポジティブにフィードバックします。
その上で「あなたとしては、何か気になっていることや、もっとできそうだと感じていることはある?」と心境を聞きながら、今後について一緒に振り返りをしていくとよいでしょう。