暮らし視点の経済学 山家悠紀夫著
徹底的に需要サイドから分析・政策提言した日本経済論であり、おのずと「新成長戦略」に対する批判の書となっている。政策批判は「暮らしが厳しくなったのも、国内需要の不振が長引いているのも、『構造改革』政策の悪しきツケである」とまでさかのぼる。
実際、日本は先進国の中で際立った形で、「賃金が上がらない(むしろ下がっている)から消費が増えない、消費が増えないから国内需要が不振に陥る」という景況が続いている。
著者は、需要サイドが主たる原因で景気が悪くなり、貧しい人が量産されたのだから、政策は供給サイドではなく、需要サイドに目を向けるべきだと説く。
では、賃金が上昇に反転するような経済構造に戻すにはどうすべきか。「週40時間労働で暮らせる社会」、「(北欧でなく)西欧並みの水準」の社会保障、「負担能力に応じた増税」を通じた独仏並みの国民負担率など、少数派ながら検討に値する諸政策を提言する。
新日本出版社 1890円
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