若手教師が育つ学校「中堅教員」のふるまいが違う、ミドルリーダーのあり方とは 「誰一人取り残さない」温かい学校をつくるには
若手さんに限らず、教員の多くは「引き算」よりも「足し算」の方が得意です。「ビルド&ビルド」で仕事が増えるばかりの職場になってしまえば、教員は疲弊してしまいます。この悪い慣習をどこかで断ち切るためにも、まずは若手さんに「引き算」の視点をもたせることから始めてみてはいかがでしょうか。
そのために必要となるのが、次の2点です。
●若手さんに「やるべきこと」を指示する際、ゴールイメージをもたせる(期日とともに、何をどこまで行えばやったことになるのかを伝える)。
●若手さんが「やるべきこと」だと感じていることを話してもらい、次の4つに振り分けて伝える(もしくは話し合いながら選別する)。
・期限までに必ずやらなければならないこと。
・余力があるのであれば、やればよいこと。
・無理が生じるのであれば、やらなくていいこと。
・そもそもやらなくていいこと。
こんなふうに仕事を振り分けるだけでも、若手さんは仕事がしやすくなります。
しかも、学校現場には、本来の目的を見失って形骸化してしまっている仕事もあります。そんな仕事ばかりを任された日には、すべてが「雑用」に思えてしまうことでしょう。「やらされ感」が強くなってしまえば、若手さんのモチベーションは下がります。
だからこそ、若手さんに限らず誰かに仕事を任せるときには「何のために」その仕事をするのか、その先にはどんなメリットがあるのか、目的や意図、背景などを説明することを大切にしています。そうすれば当事者意識が芽生え、少なくとも「こんなはずじゃなかった」と思うようなことが減るのではないかと思います。
一方、若手さんが授業に悩んだときは、成長するビッグチャンスです!「授業がうまくいかない」と悩むことができる若手さんは、伸びしろがある人です。向上心の強い若手さんほど、自分の授業について深く悩みます。
ミドルさんとしては、この成長のビッグチャンスを生かさない手はありません。
まずは「今度よかったら私の授業、見に来てみない?」と働きかけをしてみることをおすすめします。
授業改善への近道は、他の教師の授業を見ることです。しかし、それがわかっていても、「先輩の授業を見させてください」と若手さんが自分からお願いするのは相当の覚悟と勇気がいるものです。
また授業を改善する際に大切なのは、ねらいをシンプルにすることです。
例えば、「今日は授業の最初にねらいをはっきりと伝えてみよう」「10分間は必ず子どもの活動時間を確保しよう」といった言葉かけです。目標を一つに絞ってねらいを焦点化することで「授業の中で今何ができていて、何が足りないのか」が明確になります。
2〜3年目の若手さんへの寄り添い方

私が2〜3年目の頃の話です。当時の私は、何か失敗するたびに落ち込んでばかりで自信がなく、決して優秀とはいえない若手でした。それなのに、なぜかそんな私にわざわざアドバイスを求めてくる先輩教員がいました。
実際に先輩の授業を見に行き、「どうしたらこの授業がもっとよくなるんだろう?」「自分だったらどうしたいかな?」などと考えているうちに、だんだんと自分なりの考えが明確になっていったように思います。