仏高速鉄道TGVを悩ます型破りなライバル 低価格を武器に新興企業が攻め込む
ブラブラカーのサイトでTGVの幹線ルートであるパリ―リヨン間を検索してみると、平均30ユーロ(約4000円)台の料金が並び、中には22ユーロ(約3000円)といった料金の車もある。一方、TGVの予約サイトを見ると、2等標準運賃は65.60ユーロ(約8900円)。フランス国鉄をはじめ欧州の鉄道は航空機のように時間帯などで価格が変動する料金システムのため、35ユーロといった安い料金を設定している列車もあるものの、平均的にはライドシェアのほぼ倍の料金がついている。
記事によると、2014年下期のフランス国内の長距離旅客輸送シェアのうち、ライドシェアの割合は2%近くに達しているという。一方、EUの統計局ユーロスタットのデータによると、2013年の同国内の旅客輸送に占める鉄道のシェアは9.4%だ。同国でのライドシェアサービスは年率40~60%で成長を続けているといい、鉄道に影響を及ぼすレベルに近づいているといえる。
フランスの高速道路の最高速度は時速130kmで、時速160~200km程度で走る在来線長距離列車と競合するのはうなずける。だが、スピードでは車を圧倒するはずのTGVにも無視できない影響があるという。
速さから安さへ、迫られる路線変更
記事によると、その理由は料金の安さや「自宅近くから乗れる」「時間が自由」といった点だけでなく、フランスの鉄道網の構成にあるという。同国の鉄道はパリを中心に放射状に広がっているため、地方の主要都市間を移動する場合もパリを経由したほうが早いケースが多いが、車なら両都市間をダイレクトに行き来でき、結果として早く目的地に着けるためだ。
実際、新たな交通手段の躍進を裏付けるかのように、TGVを運行するフランス国鉄長距離部門の2014年の収益は前年比で1.1%減少。景気の低迷など他の要因もあるものの、在来線中長距離輸送の収益はTGVよりさらに落ち込み、前年比で3.6%減った。同社は2015年の見通しについても「厳しい状態が続く」としており、その理由の一つとして「原油価格の下落に伴うLCC(格安航空)やライドシェアとの競争激化」を挙げている。
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