インドがロシア産原油を輸入する際に指標となる原油価格は、基本的にウラル原油価格だと考えられる。一方、インドは中東からも原油を輸入しているため、その指標であるドバイ原油価格との価格差(スプレッド)を確認すると、4月まで10ドルにも満たなかったが、5月に入って10ドル台前半まで拡大していることがわかる。
つまり統計に従えば、インドは5月に入り、中東産原油よりもバレル当たり15ドル近く安価な水準でロシアから原油を買っていたことになる。実際は、ロシアはもっと原油価格を割り引いて輸出していた可能性もある。主要国による制裁で海上保険が適応されないロシア産原油は輸送コストが高くつくため、その分をさらに割り引いていると推察されるためだ。
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とはいえ、今後もインドがロシア産の輸入を増やすかどうかは不透明だ。6月に入ってウラル産原油価格とドバイ産原油価格のスプレッドが縮小しており、ロシア産原油の価格の割安感が弱まっているためである。割安感が弱まれば、インドは中東からの原油輸入量を増やすことになる。これは、ロシアの原油輸出にとって厳しい現実である。
ロシアがインドルピーを稼ぐ意味
一方で、ロシアにとっても、インド向けの原油輸出がどの程度のうまみを持つものなのかは、冷静に議論する必要がある。インドの対ロ貿易収支を確認すればわかるように、両国の貿易はロシアが一方的に貿易黒字を稼ぐかたちとなっている。ロシアはインドに原油を輸出するが、反面で輸入するものがないという状態なわけだ。
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