仙石東北ラインがほかの被災路線と違う理由 4年ぶりにあおば通~石巻間の全線運転再開

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震災までの仙石線と東北本線の運転系統は完全に別で、被災後も仙石線の快速は、早期に復旧したあおば通~高城町間で運転を再開していたが、仙台と石巻との間の交通手段を確保するため、東北本線・小牛田経由の「直通快速」も、臨時列車として1日2往復設定されていた。これは途中駅では乗降できず、まさに両市を直結する列車であった。

これらの仙石線の快速と直通快速を統合する形で開業したのが、仙石東北ラインだ。石巻のみならず高城町~石巻間の主要駅と仙台との間の「速達化」を図ったのである。(別図参照)

引き換えに今回、仙石線の快速は廃止され、あおば通~高城町間は普通列車のみの運転となっている。高城町~石巻間では、仙石東北ラインとあおば通~石巻間の普通を合わせ、震災前と同じ33往復の運転が確保された。

同時に、利用率が芳しくなかった仙台~松島間の東北本線の区間運転列車(普通)も仙石東北ラインに整理、統合されており、一部の快速が代替として仙台~塩釜間の各駅に停車。同区間においては列車本数が減った。

また、ミヤコーバス(宮城交通の子会社)が運行していた仙台~石巻間の高速バスが、5月30日より、平日ダイヤで36往復から29往復に減便された。これらの点には留意しておきたい。

接続線の総事業費は約18億円。約100億円と見積もられていた仙石線不通区間の復旧費用より、ずっと少ない投資でより大きな効果。具体的には交流強化による地域復興への後押しが望めるとして、事業化されたものだ。

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