原爆投下は予告されていた 古川愛哲著
広島と長崎への原爆投下は予告なしに行われた。これが日本の常識だが、予告は再三再四、行われていた。このため情報を入手した陸海軍将校は現地を事前に離れ、洞穴に潜み、民間人と捕虜は見殺しにされた。そして原爆投下直後、捕虜救出のため米兵が長崎に上陸したという驚くべき事実がある。作戦遂行へ向け米艦船群は、機雷の浮かぶ長崎湾になんと日本側の水先案内で接近したという。
一方、広東で外国放送傍受を担当する日本兵が、原爆投下の予定日まで上司に報告していたのに握り潰される。原爆搭載機は小倉が視界不良で長崎へ転じた、という定説にも裏があった。原爆を試したい米国、終戦工作を急ぐ日本、双方の思惑とともに民間人を犠牲にする軍首脳の陰謀が明らかに。戦中も戦後も国民の知る権利がいかにないがしろにされてきたか。原爆投下の真実を追究する熱意にあふれた告発の書。原爆投下直後の広島、長崎の惨状描写も生々しい。(純)
講談社 1575円
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