一時はアメリカ経済を抜くとみられた中国だが、アメリカ経済の強さが続きそうだ。
2023年の中国の実質GDP(国内総生産)成長率は、ゼロコロナ政策の影響で大きく落ち込んだ前年の反動から+5.2%と政府目標の5%前後を達成したが、2024年には再び+5%を下回る可能性がある。
足元の中国の成長率を顕著に押し下げているのは、ゼロコロナ政策の影響に加えて、2022年ごろから深刻化し始めた不動産不況の影響だ。しかし、政府は不動産開発業者を直接支援して住宅建設を促すなどの積極的な財政措置を講じることには依然慎重で、不動産不況の出口はまだ見えてこない。
10年前から始まっていた中国のつまずき
さらに、中国経済のつまずきは、こうしたゼロコロナ政策や不動産不況の影響によるものだけではない。中国は1970年代末から約30年にわたって平均10%程度の実質GDPの高成長を維持してきた。いわゆる「奇跡の高成長」である。しかし、2010年ごろから成長率のトレンドは下向きに転じた。成長率の下振れは、10年以上前から始まっていたのである。
背景の1つは、農村部の余剰労働力の枯渇やそれに伴う賃金上昇だろう。それによって海外企業が沿岸部に投資し、安価な労働力を用いて生産を拡大して輸出主導で成長する「世界の工場」という中国のビジネスモデルが、しだいに成り立たなくなっていった。
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