教育先進国フィンランド、ゲームも活用「学習困難児への介入」研究最前線 子どもによって異なる効果、違いの要因に迫る

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一方で、ICTツールを用いる利点もあります。例えば、前述したゲームは、子どもの習熟度に合わせて進めていくことができますし、子どもも楽しんで行うことができ、読むことに対するモチベーションも上がる可能性があります。また、子どものレベルに合わせた教材を準備する十分な時間が取れない先生たちの助けにもなります。

ICTツールは日々進化し、新しいテクノロジーの使用にはつねに恐怖が伴います。しかし、それを怖がって全面的に禁止するのではなく、その長所と短所を理解し、最も有効な活用の仕方を模索していくことが必要だと私たちのプロジェクトでは考えられています。

今回、このICTツールを含む介入プログラムが読み能力の促進に効果があるかどうかという部分も重要ですが、前述したように、介入で効果が非常にある子もいればそうでない子も出てくると考えられます。

そうした違いに関係している要因(情動的要因、環境要因、先生の要因など)があるのかどうかを明らかにすることが本研究の一番の目的です。介入効果の違いに影響がある要因がわかれば、今後はそれらの要因に配慮した介入や、その要因そのものにアプローチする介入もできるようになることが期待されます。

現在、13週間の介入と測定まで終わっており、これから集められたデータの点検や予備分析を進めていきます。また、同様の13週間の介入を来春にも行う計画で、協力してくださる先生方と子どもたちは増える予定です。

数年先にはなりますが、今回の研究成果は、学術論文として発表するのはもちろん、集めたデータを基に参加された先生や保護者にフィードバックを行ったり、近年の研究動向やInterLearnの研究成果を説明するセミナーを行ったりと、現場に届く形での発信も行っていきます。

日本にもその成果を発信できたらと思いますが、InterLearnについて詳しくお知りになりたい方は、私たちのホームページと下記の参考文献をご覧ください。

■参考文献
Aro, M., & Aro, T. (2023). Two Future Challenges for Learning Disability Research. LD 研究 (Japanese journal of learning disabilities/日本 LD 学会編集委員会編), 32(3), 216-222.

(注記のないイラスト:Terese Bast)

執筆:矢田明恵
東洋経済education × ICT編集部

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