GIC(シンガポール政府投資公社)が日本でPE(未公開株式)投資を積極化させる。背景にあるのは、日本企業に起きた大きな変化だという。
株や債券、不動産などへの投資を行う世界有数の投資ファンド、GIC(シンガポール政府投資公社)。1981年の設立以来、シンガポール政府の外貨準備金の運用を目的として、世界40カ国以上の資産に投資している。
日本へは1990年代、汐留シティセンターへの投資を皮切りに、不動産投資へ参入。2022年には、苗場スキー場など26施設を西武ホールディングスから取得した。PE(未公開株式)投資も1990年代から進めており、近年では人事ソフトウェアサービスのワークスヒューマンインテリジェンス(WHI)の株式を一部取得している。
GICグループ副最高投資責任者のブライアン・ヤオ氏およびGICジャパン代表取締役の杉本健氏に、今後の日本での展開について聞いた。
――海外投資家から見た日本の不動産市場の魅力を教えてください。
杉本:透明性と流動性が高い。また、金利が上昇しているとはいえ、まだファイナンシングスプレッド(借入金利と投資利回りの差)がある。インフレと賃金上昇の好循環、そして金利上昇。過去35年間みられなかった環境が、今後不動産市場にどういった影響を与えていくのかを深く考え、賢い投資をしていかなければならないと思っている。
不動産投資ではホテルに重点
――今後の日本の不動産市場における重点部門は何ですか。
杉本:政府は2030年までにインバウンド観光客6000万人という目標を掲げている。これはホテルにとって追い風だ。
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