熱中症患者と火災続発「インド気温52℃」のリアル 日常生活もままならない状態になっている
インド気象局は29日夜の声明で、ムンゲシュプールの観測所の数値は「他の観測所のものとかけ離れていた」とし、デリー周辺の他の観測所よりも高い気温を記録した同観測所の記録について、誤りによるものなのか、それとも局所的に差が生まれる要因があったのか、見極める作業を行っていると述べた。
これまでの最高気温記録はセ氏約48度だったが、記録はここ数日で何度も塗り替えられてきた。28日、ニューデリーにある3カ所の気象観測所は49.8度以上の気温を報告し、29日午後に52.3度が記録される前の段階で、すでに最高気温記録を更新していた。
熱中症患者が増加し、火災も続発
ここ数週間、インド北部の気温は複数の州で43度を大きく上回っており、病院では熱中症患者が増加。ヒマラヤ地域の州では森林火災が何百件と報告されている。
建物が密集した場所では致命的な火災が頻発。多くは電気系統のショート(短絡)が原因で、気温の上昇によってショートの危険に対する懸念が高まっている。
デリーの消防署長アトゥル・ガーグは、火災関連の通報が1日200件を超え、過去10年間で最も多くなったと言う。「過去8~10年間のこの時期には、1日160件の通報が普通だった。今は人員が逼迫している」とガーグ。
今回の熱波は、6月1日に最終投票が予定されているインドの総選挙期間と重なった。首相ナレンドラ・モディや野党指導者をはじめとする候補者たちは、酷暑にもかかわらず大規模な集会を続けている。
再選を目指している閣僚のニティン・ガドカリは、集会の演説中に暑さで気を失った。