日本版スマートグリッドは離島から始まる! “先進地”黒島・屋久島現地ルポ

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停電は日常茶飯事 屋久島住民の憂鬱

「しかし利用料の安さも96年ごろまでだった」と、配電組織の一つ、安房電気利用組合の岩山光清組合長は振り返る。九州電力はその頃からより割安な原子力の新設備を稼働させたこともあり、徐々に値下げを行っていき、価格差は逆転した。今では「日本の電気代は世界一高いといわれるが、屋久島はそれより高い。本土なら当然ある夜間割引すらここにはない」と、屋久島でホテルのオーナーを務める眞邉文法さんは嘆く。

それだけではない。屋久島では停電も日常茶飯事だ。島の繁華街、宮之浦にあるスーパーマーケット「わいわいランド」では、00年11月の開店時から定格出力184キロワットの非常用ディーゼル発電機1台を地階に設置している。「この島では停電を想定して出店する必要があった」と同店の店員は言う。停電時でもレジと冷凍設備、店内のエアコンの半分を起動でき、最低限の営業は継続できる体制を準備している。

10年12月には、島民が「あれは最悪だった」と口をそろえる、3日連続の停電が起きた。「12月11日(1回目)、4時20分~9時25分に停電。原因説明できず。12日(2回目)、21時56分~1時39分。13日(3回目)、2時50分~15時32分。分電盤全面更新か」--。

配電組織の上屋久町電気施設協同組合の報告文書には、ひっきりなしの苦情を抱えつつ対応に追われた停電当時の生々しい記録が残る。町議会も堪忍袋の緒が切れた。1月末、議会内で特別調査委員会を立ち上げ、問題の追及に乗り出した。「住民の怒りは爆発寸前。特に屋久島電工は、儲けにつながらない老朽設備の修繕や電気の質向上を放棄している」と、同委員会に参画する渡邉博之町議は憤然とする。

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