「江ノ電」が50年前の車両も使い続けるワケ 乗客1700万人!「江ノ電」の強さの秘密①
それでも、ありがたいことに、観光でいらっしゃるお客様はわざわざ江ノ電を使ってくださるケースが多いようです。これは、江ノ電が走っている沿線地域のロケーションの魅力と江ノ電の風景とが一致して、非日常的な魅力を生み出しているからなのではと思います。
それと、リピーターとして日帰りで何度も来て乗っていただくお客様が多いことも大きな要因になっています。われわれも沿線でいろいろなイベントを開いて、魅力を発信していますし、そういうことをお客様に理解していただいていると思います。
まるで遊園地! 江ノ電の魅力
――住宅地すれすれに走るなど、江ノ電は乗っているだけで楽しい面もありますね。
観光のお客様が江ノ電に乗り、走行中の車内から窓の景色をご覧になって、「わあ、遊園地みたい」とおっしゃっているのを耳にします。
急カーブをゆっくり走ったり、民家すれすれに通り抜けたりする様子は、ちょうど遊園地の乗り物と同じように感じられるのでしょう。
江ノ電の速度は、今どきの鉄道に比べて、非常に遅いものです。一部が路面電車と同じですし、民家が接近している、急カーブが多いなどの理由もあり、速度は出せません。
でも、江ノ電の遅さはお客様に魅力だと感じていただいており、遅いという本来は短所であるはずの特徴を逆手に取って、エンターテインメントにしているわけです。
実は、私たち江ノ電では、電車そのものをエンターテインメント化し、楽しんでもらうことを、意図的に進めているのです。
江ノ電が好ましいイメージを持っていただいているのは、たぶん、昔の遊園地や動物園の「おさるの電車」と同じだと思うのです。
私たち団塊の世代が子供の頃、遊園地などではサルが運転士のように乗った小さな汽車が園内を走っていて、親子連れに人気でした。
遅い、揺れる、民家すれすれに通るなど、江ノ電の特徴は「おさるの電車」と同じです。かつての遊園地の楽しい思い出がノスタルジックによみがえるため、普通の鉄道ならばマイナス面であるはずの特徴が、好感されている面もあるのでしょう。
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