急速に進化を遂げる中国の金融システム--ハワード・デイビス ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス前学長

北京の金融当局、特にCBRCと中央銀行の中国人民銀行は、好況と不況を上手に管理してきた。私は、今回も金融当局は市場をうまく管理すると思う。彼らは、資本規制、準備率規制、住宅融資条件の管理などさまざまな政策手段を駆使して状況に極めて弾力的に対応している。ここ数カ月は、貸し出し増加を抑制しており、よい効果が生まれている。
こうした中国の金融システムの転換は外国人顧問の賢明な助言によるものだとするのは言いすぎだろうが、外圧はいろいろな面で役に立ったかもしれない(たとえば中国の銀行はBISの自己資本規制に触発されて、金融システムの清算を決意した)。だが今日、中国人は、英米の金融界からのアドバイスに懐疑的になっている。
サッチャーの言葉を信じる人はもういない
最も興味深いのは、北京とロンドン、ニューヨークの間で、規制哲学や規制手段に関する考え方が一つにまとまりつつあることだ。
金融危機が起こるまで、北大西洋諸国の金融当局は、金融の歴史は終わった(もはや大きな変動は起こらない)と考えていた。一つの政策手段(短期金利)を消費者物価インフレという目標に割り当てることで、金融情勢はコントロールできると考えられていたのだ。
銀行の自己資本比率に関する国際的な規制は、いったん比率が定められると、変更されることはなかった。また、銀行は賢明な融資をするための独自のインセンティブを持っており、融資規制は非効率だと思われていた。これとは対照的に、中国では銀行のあらゆる業務が金融当局により直接監督されていた。大半の銀行は中央銀行の管理の下に置かれていた。