非営利の美術館が堅実に利益を出している理由 公益の財団法人が積極的に営業活動をする意味

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大原美術館が公表している「公益財団法人大原美術館 令和4年度事業報告書」を見てみますと、年間収入約4.5億円、経常利益約4千万円と、堅実に利益を出されている状況が読み取れます。

収入の大半が入館料で、通常の事業活動で利益を出しています。企業を経営する資産家の方が設立者ですが、趣味や娯楽で運営されているものではありません。

大原美術館はどうして存続できているのか

年間来場者数は約26万人だそうですが、何もせずに集まる数字ではないでしょう。「どう世の中の多くの人に知ってもらい、リピートしてもらうか?」を考え、地道に努力をされていて、商いの感覚を持って運営されている様子がうかがえます。

もし仮に営業努力が足らず、恒常的に赤字になる状況であればどうでしょうか?

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公益法人でもお金が足りないと何かで補わないといけません。クラウドファンディングなどで広く寄付を集める、それでダメならスポンサー企業を見つける、それも無理なら自治体などの公的支援ですが、この原資は税金ですのでハードルは高いです。

このような順番で考えていくと、あとに行くほうがだんだんと自由度がなくなっていき、自分たちの意向で運営できる幅が狭まることが想像できます。

特定の人の支援を受けると、その方たちの意向を反映しないといけません。もちろん方向性が完全に一致していれば問題ありませんが、人それぞれ思いが違うようにそれは現実には困難です。

となると、最も創意工夫ができて、お客さんに楽しんでいただいた実感を持てるのは、来場者からの収入で自立して運営することになります。

堀内 雅生 税理士

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ほりうち まさお / Masao Horiuchi

1969年、東京都生まれ。税理士(東京税理士会所属)、MBA(経営管理修士)。1992年、慶應義塾大学経済学部卒業。卒業後はVCに入社し、その後スタートアップに転じ、複数の企業で会計や財務、IPO、M&Aなどを担当。2018年、早稲田大学大学院経営管理研究科修了。2020年4月より日本大学芸術学部非常勤講師となる。USEN-NEXT HOLDINGS(2024年4月1日よりU-NEXT HOLDINGSに変更予定)常勤監査役、サイバーエージェント社外取締役監査等委員。この他、複数の上場企業の社外役員を兼任している。

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