日本人が知らないサンマリノ、「神社」と電車の謎 短命の山岳鉄道が動態復元、ブドウ畑に鳥居が
第2次世界大戦終了後、リミニ・サンマリノ鉄道の復活を期待する声はあちこちから幾度となく上がったという。しかしサンマリノの人々の願いは届かず、イタリア領内にあった同鉄道の線路は1958年から1960年にかけて完全に外されてしまった。
一方で、サンマリノ側では鉄道があった痕跡を残そうとする活動が脈々と行われている。1kmに満たない長さとはいえ、保存状態のよかった旧サンマリノ駅近くのモンターレ(Montale)トンネル前後の区間が修復され、鉄道車両の動態保存区間としてよみがえった。復活したのは2012年7月21日で、1等と3等の客室を備えた合造車の電車「AB03」と、有蓋貨車1両が不定期にトンネル内を行き来している。バッテリー動力などへの改造ではなく、実際に架線に480Vの電力を通し、架線集電の「電車」として動かせるようにしているのが心憎い。
普段「AB03」は昼夜を問わずトンネル内に停めてある。出入りも自由とあって、観光客などが写真を撮る姿も見られる。
動態保存区間を延長する構想も
ちなみに現在、下界とティターノ山の山頂付近にあるサンマリノの街とを結ぶ公共交通機関はロープウェーがあるほか、イタリア鉄道(トレニタリア)のリミニ駅前からはサンマリノの街への定期路線バスが運行されており、1時間ほどで中心街まで行ける。
また、リミニの南東には空の玄関、リミニ・サンマリノ空港がある。空港敷地はイタリア領に位置しながらも、サンマリノ共和国に籍を置くプライベート機がここを拠点に登録されている。
リミニ・サンマリノ鉄道の動態保存については、モンターレトンネルのふもと側(リミニ方)の先、ループ状になっているピアッジェ(Piagge)トンネルを通った先に位置するロープウェー駅(下界側)近くまで、約3km強の区間を復元し、列車を走れるようにする構想もあるというが、果たして計画はどう進むのだろうか。
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