確実に騙される? 何でもあり情報窃取の巧妙手口 スパイの手法に酷似する恐怖の手法とは

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さらに、ターゲット企業が使用するWi-Fiになりすました偽Wi-Fiを飛ばす機器をターゲット企業のロビーに置き、この偽Wi-Fiにアクセスした社員を足掛かりに不正アクセスを試みることも可能だ。極端な例では、地方の企業に対し、社屋の屋上にドローンを飛ばし着陸させ、偽Wi-Fiを飛ばす手法もある。実際にこの手法を用いた攻撃が確認されている。

ここまでくれば、もはやソーシャル・エンジニアリングとは言えないが、攻撃者にとってはその手段は“何でもよい”のだ。

生成AIの悪用も想定される

最近では生成AIを活用することで、海外の攻撃者は日本語でのメールコミュニケーションに不自由がなくなり、その日本語の不自然さで見抜くといったことは難しくなってきている。また、音声生成AIを用いたニセ音声の悪用により、上司などを装ったソーシャル・エンジニアリングも想定される。

ソーシャル・エンジニアリングは人間の心理と行動上のミスにつけ込む巧妙な手口であり、その手法は驚くほどアナログであることも多く、社員個人のセキュリティ・リテラシーに依存している状況を突いている。

一方で、ソーシャル・エンジニアリングの疑似攻撃では、今から1週間以内に攻撃すると全社員に予告すると当然その攻撃成功率は下がる。ソーシャル・エンジニアリングを軽視せずに、「ここまでやってくるのか」と理解することで、社員のセキュリティ・リテラシーは一定程度向上し、攻撃を防げる可能性も高まるだろう。

攻撃者は、日夜、攻撃手法を考えている。その脅威を是非認識いただきたい。

稲村 悠 Fortis Intelligence Advisory株式会社代表取締役

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いなむら ゆう / Yu Inamura

Fortis Intelligence Advisory株式会社代表取締役、(一社)日本カウンターインテリジェンス協会代表理事、外交安全保障アカデミー「OASIS」講師。1984年生まれ。東京都出身。大卒後、警視庁に入庁。刑事課勤務を経て公安部捜査官として諜報事件捜査や情報収集に従事。警視庁退職後は、不正調査業界で活躍後、大手コンサルティングファーム(Big4)にて経済安全保障・地政学リスク対応に従事した。その後、Fortis Intelligence Advisory株式会社を設立。経済安全保障対応や技術情報管理、企業におけるインテリジェンス機能構築などのアドバイザリーを行う。また、一社)日本カウンターインテリジェンス協会を通じて、スパイやヒュミントの手法研究を行いながら、官公庁(防衛省等)や自治体、企業向けへの諜報活動やサイバー攻撃に関する警鐘活動を行う。メディア実績多数。著書に『企業インテリジェンス』(講談社)、『防諜論」(育鵬社)、『元公安捜査官が教える 「本音」「嘘」「秘密」を引き出す技術』(WAVE出版)。
X: https://twitter.com/yu_inamura_spy
公式サイト: https://www.japancia.com/

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