確実に騙される? 何でもあり情報窃取の巧妙手口 スパイの手法に酷似する恐怖の手法とは

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さらに、ターゲット企業が使用するWi-Fiになりすました偽Wi-Fiを飛ばす機器をターゲット企業のロビーに置き、この偽Wi-Fiにアクセスした社員を足掛かりに不正アクセスを試みることも可能だ。極端な例では、地方の企業に対し、社屋の屋上にドローンを飛ばし着陸させ、偽Wi-Fiを飛ばす手法もある。実際にこの手法を用いた攻撃が確認されている。

ここまでくれば、もはやソーシャル・エンジニアリングとは言えないが、攻撃者にとってはその手段は“何でもよい”のだ。

生成AIの悪用も想定される

最近では生成AIを活用することで、海外の攻撃者は日本語でのメールコミュニケーションに不自由がなくなり、その日本語の不自然さで見抜くといったことは難しくなってきている。また、音声生成AIを用いたニセ音声の悪用により、上司などを装ったソーシャル・エンジニアリングも想定される。

ソーシャル・エンジニアリングは人間の心理と行動上のミスにつけ込む巧妙な手口であり、その手法は驚くほどアナログであることも多く、社員個人のセキュリティ・リテラシーに依存している状況を突いている。

一方で、ソーシャル・エンジニアリングの疑似攻撃では、今から1週間以内に攻撃すると全社員に予告すると当然その攻撃成功率は下がる。ソーシャル・エンジニアリングを軽視せずに、「ここまでやってくるのか」と理解することで、社員のセキュリティ・リテラシーは一定程度向上し、攻撃を防げる可能性も高まるだろう。

攻撃者は、日夜、攻撃手法を考えている。その脅威を是非認識いただきたい。

稲村 悠 日本カウンターインテリジェンス協会 代表理事

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いなむら ゆう / Yu Inamura

官民で多くの諜報事件を捜査・調査した経験を持つスパイ実務の専門家。元警視庁公安部外事課の捜査官として諜報活動の取締まりや情報収集に従事。刑事時代は、多くの強行事件を担当。警視庁を退職後、会計不正、品質不正などの不正調査業界で活躍し、民間で情報漏洩事案を端緒に多くの諜報事案を調査。さらに、大手コンサルティングファームにおいて経済安全保障関連、地政学リスク対応コンサルティングに従事した。現在は、日本カウンターインテリジェンス協会を設立、HUMINTの研究を行いながら、産業スパイの実態や企業の技術流出を防ぐ為、講演や執筆活動・メディア出演などの警鐘活動を行っている。
X: https://twitter.com/yu_inamura_spy
公式サイト: https://www.japancia.com/
 

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