「先生だけで教育を変えるのは苦しい」、現役教師たちが対話で開ける風穴 思いの丈を語り合う「みんなの社会共創対話」

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「社会共創プラットフォーム」中心メンバーの北区立王子小学校・小甲圭悟さん(左)、メンタルコーチとして教師をサポートする中楯浩太さん(奥)、小金井市立小金井第一小学校・松本将吾さん(右)

もともとは社会科を専門とする先生たちが、社会科の授業研究を行う「社会科教育連盟」で知り合い、社会とつながる社会科の授業を探求してきた中で、「社会課題について授業をする自分たちが、社会とつながっていない」という課題意識を持ち、「私たちにもできる、何か小さな一歩があるんじゃないか!?」「教師と社会を対話を通してつなげたい」という思いから「みんなの社会共創対話」を開催することになりました。

共創対話とは、さまざまな立場の参加者が、対話しながら、参加者同士で価値観を共有するとともに新しい価値を生み出していくことです。

「これまで、本当に寝る間を惜しんで、研究をしまくってきた」という中楯さんは、19年間現場に立ちながら、暗記科目ではなく考える社会科、社会とつながる社会科の授業探究を行い、小学校で実践を積み重ねてきました。

しかし、結局、中学・高校と上がるに連れて、ひたすらワークシートの穴埋め問題をこなす授業になっていく様子を見続けて、「いくらわれわれが命を懸けて授業研究をしても、日本全体は何も変わらない。先生だけで教育を変えていくのは苦しい」という思いを抱えるようになったそうです。そこからもっと社会全体にアプローチしたいと、学校外のあらゆる研修に参加し、教師だけでなく、さまざまな世界の人たちとつながってきました。

そんな中楯さんと社会教育連盟でつながり意気投合した小甲さんや松本さん。対話を通して生まれた言葉が、「教育が社会をつくり 社会が教育をつくる」でした。

やがて、彼らの熱い思いに共感した小林さんや須藤さんが加わり、さらに20名近いサポーターの方たちが、運営を手伝っています。まさに個人の思いや行動が隣の人を動かし、遠心状に輪が広がっていっているようです。

思いを持って活動している人の話に心を動かされる

この会の特徴は、必ず学校外で思いを持って活動している方をゲストスピーカーとして招き、その方々の話を聞いて、心が動いたこと、感じたことなどを参加者同士で対話をする。そして、あえて結論は出さなくていいという2つです。

2回目となる今回の共創対話のゲストは、次の4人。

落語教育家の楽亭じゅげむ(本名:小幡 七海)さん

ヤマガタデザイン代表取締役の山中大介さん

「平和をつくる仕事をつくる」をコンセプトに事業創造をする住岡健太さん

そして、元・文部科学副大臣で東京大学教授の鈴木寛さん

です。

2回目となる今回の共創対話のゲストは4人。左から東京大学教授の鈴木寛さん、落語教育家の楽亭じゅげむさん、ヤマガタデザイン代表取締役の山中大介さん、「平和をつくる仕事をつくる」をコンセプトに事業創造をする住岡健太さん

じゅげむさんは、自殺やいじめが蔓延する学校で、正しい笑いの使い方を学ぶ授業をしたいと、全日本学生落語選手権優勝と小学校教員の経験を掛け合わせた落語教材を独自に開発し、落語を通して「はみ出し者を面白がる落語思考」を世に広める活動を行っています。

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