膨張に加速がついて「寂しい宇宙」になる--『観測的宇宙論への招待』を書いた池内了氏(宇宙物理学者、総合研究大学院大学学融合推進センター長)に聞く

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 ダークマターとは、光を放たず、暗いため姿が見えない物質のことで、それが大量に存在している。銀河が回転しても星は銀河から飛び散っているようには見えない。遠心力に見合うだけの万有引力があることになる。その際、星だけでは不足する重力を補う物質があるはずだとなった。それがどれくらいあるのか。ここ30年ほどでデータが積み上げられた。

ダークエネルギーは1990年代半ばからいわれてきた。それを支持する証拠はいくつかある。明確な証拠は宇宙の膨張に絡む。宇宙がある段階から速度が速くなりながら膨張するためには、何か宇宙を押し広げる力が必要で、そういう宇宙斥力をダークエネルギーと呼んでいる。

──構成の割合がどうしてわかるのですか。

エネルギー量で測る。ダークマターは、われわれの身体を作っているもののほぼ6倍あるといわれ、ダークエネルギーはさらにその3倍近いと計算されている。

現在、ダークマターもダークエネルギーも正体はわからない。ダークマターは実際の物質だが、ほとんど反応しない。たまに反応するので捕らえようという動きはある。しかし、成功はしていない。ダークエネルギーに関しては物質ではない。どのように探していいのかもまったくわからない。どのくらいあるか、どのように分布しているかは調べられるのだが。

──宇宙の将来はどうなるのでしょう。

宇宙は膨張を続け、その速さも速くなっているから、「寂しくなっていく」ことは確かだ。ほかの銀河系の星は遠ざかっていく。星は永遠に輝くわけではなく、燃やす燃料は限られているから、使い果たして消えてしまうなど、寂しい宇宙になっていこう。

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