[Book Review 今週のラインナップ]
・『モデルナ 万年赤字企業が、世界を変えるまで』
・『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』
・『世界資源エネルギー入門 主要国の基本戦略と未来地図』
・『K-POP現代史 韓国大衆音楽の誕生からBTSまで』
評者・サイエンスライター 佐藤健太郎
コロナ禍で最も躍進を遂げた企業といえば、新型コロナワクチンの開発に成功した独ビオンテック、米モデルナの名が真っ先に挙がるだろう。コロナ禍前には、製品を1つも創り出したことのない、ほぼ無名のバイオベンチャーであった両社は、2022年には約180億ドルを売り上げ、世界の製薬企業ランキングトップ20に名を連ねた。
ビオンテックは業界の雄である米ファイザーと組むことでこの成功を手にした。一方、モデルナは独力で、多くの巨大企業が失敗したコロナワクチン創出を成し遂げた。この快挙がいかに果たされたのか、多くの関係者へのインタビューから、その秘密に迫る。
大手企業との提携はデメリット 独力での開発にこだわった
モデルナのワクチンは、mRNAワクチンと呼ばれるタイプのものだ。タンパク質の設計図であるmRNAを体内に送り込み、自在に望みのタンパク質を作らせるという画期的な手法だが、これまで実用化されていなかった。ただ、コロナ禍に合わせ急ごしらえで生み出されたものではない。そこには、10年以上にわたる研究の積み重ねがあった。
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