小野寺五典氏「日本のサイバー空間だけ無法地帯」 今後の防衛・安全保障はチーム抑止力が中心に

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サイバー攻撃について、日本はどう対応すべきか(撮影:尾形文繁)
日本を取り巻く安全保障環境の変化を受けて、防衛・安全保障体制の見直しが急務となっている。「専守防衛」を掲げてきた日本の防衛はどうあるべきか。課題とは何か。
前回に続き、外務副大臣や防衛大臣を歴任し、現在、自民党安全保障調査会長を務める小野寺五典氏に、ジャーナリストの塩田潮氏がインタビューする。(このインタビューは2023年6月7日に行いました。)

塩田潮(以下、塩田): 安全保障・防衛の在り方を考えると、現代は武力攻撃の形態も大きく変化しています。たとえばサイバー攻撃については、日本はどう対応すべきだとお考えですか。

小野寺五典(以下、小野寺):サイバー空間の中では、国際ルールはないんです。それを盾に、各国はある面で自由なことをしています。サイバーに入り込み、相手の情報を盗む。相手の企業に対して身代金要求を行う。いたずら目的で重要インフラのシステムをダウンさせる。その中で、やっていいのは何か、やってはダメなのは何かというのは、世界中、非常にあいまいです。だから、やり放題の人たちがほとんどです。

日本は世界トップクラスの規制

日本は憲法上の制約があり、サイバー分野では世界で最も厳しい規制が作られている。サイバー空間だけは誰も入ってはいけない、手出しもできないというガチガチの規制があります。通信の秘密の保護をとても厳しくしている。不正アクセス禁止のためのさまざまな法律があります。そこに攻撃を仕掛けるウイルスの作成を禁止する法律もあります。自分たちの手足を縛っているという点では、多分、世界でもトップクラスです。

ということは、日本だけが自分の手足を縛って、ほかの国は好き放題、やっています。手足を縛っている国が正しいかもしれませんが、損しているのは手足を縛っている国だけではないか。日本としても一定の能力を持たないと、全く世界で孤立してしまう。

サイバー人材の向上を、と言いますが、日本国内は制約が多すぎて育たない。日本の企業に聞いても、海外、中でもイスラエルが多いらしい。サイバー防衛は、攻撃があって、初めて防衛の仕方もわかる。攻撃できなければ、守りもできない。日本で安全保障や治安に関わる人は、サイバー空間でのさまざまな活動も認めていいのでは、と私は思います。

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