たった一人で2300人の児童・生徒を受け持つ「栄養教諭」が抱えるジレンマ 塩分調整・アレルギー対応、学校給食は課題山積

【2023年7月18日15時30分追記】受け持っている児童・生徒数の数に誤りがあり、上記のとおり修正しました。
立ちはだかる“塩分2g”の壁

栄養教諭・管理栄養士。現在、栃木県栃木市大平学校給食センターに勤務する傍ら、日本栄養士会理事として学校健康教育職域を担当する。 2004年学校給食優良学校等文部科学大臣表彰(文部科学省)、07年とちぎ地産地消夢大賞を受賞(とちぎ地産地消県民運動実行委員会/会長栃木県知事)、08年全国地産地消推進協議会会長賞を受賞(全国地産地消推進協議会)、農林水産省「地産地消の仕事人」に選定。 09年とちぎ教育賞を受賞(栃木県教育委員会)、11年優秀教員表彰(文部科学省)、21年栃木県学校給食優良学校等表彰において「学校給食功労者」を受賞
栄養教諭とは、栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せ持つ教育職員のこと。学校給食の管理を本務とする学校栄養職員とは異なり、学校における食育の推進役を担っている。主な業務の1つは、学校栄養職員と共に学校給食の献立を作成することだ。限られた予算の中で、“学校給食が家庭の食事の見本になること”を念頭に、栄養バランスに配慮したメニューを考えなければならない。
学校給食の栄養面において、最も頭を抱えるポイントが塩分量だ。小学生の給食1食分のナトリウム(食塩相当量)摂取基準は2g未満(※1)。一般的に2gのハードルはかなり高く、さらに子どもたちの好みの味を保つのはとても難しい。中田氏も「一気に味を薄くすると、残食が増える懸念があります」と頭を悩ませる。
※6歳〜7歳については1.5g未満(2021年改正)
学校給食での人気メニューは、揚げパン・カレー・唐揚げなど、昔からあまり変わっていない。基本的に油と甘いもの、またはしょっぱいものという組み合わせが好まれる。そんな中、減塩のために栃木市では積極的に“ご飯食”を取り入れているそうだ。「ご飯には塩分がなく、和食の献立でだしを利かせればさらに塩分を抑えられます。また、栃木は米の産地でもあるので、地産地消にもつながる。パンは子どもたちに人気ですが、パン自体に塩分が含まれていることもあり、現在栃木市では週に1~2回までにしています」(中田氏)。
