小学生に「金融教育」は早い?優秀賞を受賞「お金を稼ぎ寄付する授業」の中身 子どもたちは食いつき、保護者の多くも賛成

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「子どもたちは当初から『面白そう!』と食いつきがすごかったですし、1年間熱心に前向きに取り組んでいました。小学生でお金について学ぶ必要があるのかとの意見を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、最後の焼き芋パーティーでは、みんな『おいしいね』と言い合いながら食べていて、自分たちが考え、実際に働いて稼いだお金が生かされたという達成感がよく伝わってきましたね。子どもたちのお金に対する見方や考え方が広がったことは、成長といえるのではないでしょうか」

また、家庭科や運動会の活動が稼ぐ方法に生かされただけでなく、売り上げ目標を考えるうえでは算数の計算知識が、ポスター作りには学級活動で学んだCanvaのスキルも活用できた。「結果的にさまざまな教科がつながる活動になりました」と髙岡氏は話す。

ポスターは、1回目のイベントでは手作りだったが、2回目はCanvaで作成

前述のように外部の人材が協力してくれたことも大きい。いずれの専門家も謝礼なしで依頼を快く受けてくれたそうだ。そのおかげで、子どもたちは学びを深めることができた。

こうした教育活動が評価され、髙岡氏は昨年12月、金融広報中央委員会等主催の「金融教育に関する実践報告コンクール」で優秀賞を受賞。2023年2月には授業参観で1年間の取り組みを子どもたちが発表し、保護者にアンケートを取ったところ、小学校がお金の授業をやることに対して賛成と答えた保護者が19人中17人、どちらとも言えないと答えた保護者が2名となった。「好意的に見ていただけたのでは」と髙岡氏は捉えている。

「一方で、SNSなどで批判的な意見もありました。友人の教員も、金融教育をやりたいと職場で提案したところ反対に遭ったようです。小学校も家庭科でお金の使い方は教えていますが、お金を稼いで使うという新しい取り組みに関しては、今もさまざまな意見があるのだと感じます」

しかし、髙岡氏は金融教育や総合的な学習の時間に意欲的に取り組む先生が増えてほしいと願っている。

「私は学校教育が少しでもいい方向に変わってほしいと思ってこの実践に取り組みました。コンクールに応募したのも、そのためです。教育はICTによってできることが増え、今後も学びは多様化していくでしょう。とくに個で学べる時代となった今、学校の価値は体験的な活動にあると考えます。そういった意味でも総合学習は重要であり、お金は汎用的に生かせるテーマだと思っています」

髙岡氏は、こうした思いをコンクールで獲得した賞金を使ってYouTube動画にまとめた。一連の実践はこの動画の一部や金融広報中央委員会のホームページで見ることができる。金融教育や総合的な学習の時間のアップデートに興味がある人にとって参考になるのではないだろうか。

(文:國貞文隆、写真:髙岡政晴氏提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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