小学生に「金融教育」は早い?優秀賞を受賞「お金を稼ぎ寄付する授業」の中身 子どもたちは食いつき、保護者の多くも賛成

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次の授業では、自分や家族が日頃、どこにお金を使っているのかを振り返った。生活に必要なもの、あったらいいなと思うもの、プレゼントなど人のためのものなどを整理していく中で、「人のためにお金を使ってみたい」という意見が出たという。

そこで、人にお金を使うにはどのような方法があるかを知るため、みんなで1人1台端末を使ってお金の専門家をリサーチし、金融教育を提供するPremier Financierにオンライン授業を依頼。その中で、投資が1つの選択肢であること、小学生でもできる投資としてふるさと納税があることを教えてもらった。

多くの子がふるさと納税について聞いたことはあるものの、詳しくは知らない。そこで次は、市役所のふるさと納税の担当者を招いて話をしてもらい、「ふるさと納税は返礼品がもらえる寄付」であることを学んだ。子どもたちは興味を持ち、実際にやってみようということになったので、今度は寄付をするお金をどのように集めればいいのかを話し合った。

「物を売って稼ぐという案が出てきたところで、小学生なのに物を売ってもいいのかなどさまざまな意見が出ました。そこで、税理士でYouTuberの大河内薫さんにオンライン授業をしていただき、小学生が物を販売することに問題はないこと、販売場所としては学校を活用するとよいことなどを助言していただきました」

その後、子どもたちが話し合った結果、家庭科での雑巾作りと運動会で練習したダンスを生かして稼ぐことが決定。実演販売士のレジェンド松下氏に協力してもらい、子どもたちは雑巾販売の極意も学んだ。

そして、2022年9月に「きふフェス」と称して学校で雑巾販売とダンスパフォーマンスを合わせたイベントを開催、当日は45分の間に約70人の保護者や地域の関係者が集まった。

2022年9月の「きふフェス」。雑巾販売をする子どもたちと、それを買い求める地域の人たち

雑巾は2枚で100円、ダンスはよければ50円という金額を設定したが、売り上げ目標の2000円を大幅に上回る約8500円の売り上げがあったという。このときの雑巾とダンスの品質などの課題を踏まえ、23年1月には2回目の販売会「夏5フェス」を開催。手作りのティッシュケース(150円)とペンケース(200円)も販売し、目標金額1万3500円のところ約1万7000円を売り上げた。

2023年1月の「夏5フェス」

この売上金約2万5000円を使い、髙岡氏の名義で、子どもたちが寄付先として決めた青森県津軽市、熊本県の和水町、愛知県岡崎市にふるさと納税を通じて寄付。3月には返礼品のリンゴジュース、さつまいも、クッキーでパーティーを開いた。

さつまいもを調理し、焼き芋パーティーを開催

「金融教育や総合学習に意欲的な先生が増えてほしい」

髙岡氏は、こうした1年間にわたる金融教育を次のように振り返る。

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