小池百合子都知事「所得制限なし月5000円給付」に続く子育て・教育施策の中身 「チルドレンファースト社会」の実現に1.6兆円
ちなみに私は国会議員時代から婚活・街コン推進議員連盟(当時)を創設し、活動を行ってきました。子どもを持てる社会にするためにも、ぜひこうした取り組みは続けていきたいと考えています。
「英語力の東京」を掲げる狙い
――教育施策については「英語力の東京」を掲げて、ALT(外国人英語等教育補助員)の配置拡充や都内2つ目となる体験型英語学習施設を多摩地域に開設するほか、高校生の海外交流事業の強化も行っています。英語力の向上に力を入れる理由を教えてください。
日本では長年英語教育に力を入れていますが、これほど英語を話せない国民も世界では珍しいのかもしれません。英語力という点では世界的基準から見ても、物足りないものがあります。日本人として仕事ができる人でも、日本語だけとなれば、世界の労働市場からすれば、その価値は大きく下がってしまいます。これからさらにグローバル化が進む中で生き抜くためには英語力は必要不可欠なスキルの1つだといえます。
こうした世界的な人材の競争力を高めるためにも、英語力の強化を図っていきたい。その施策の1つとして都立高校の入試において、中学校英語スピーキングテスト(以下、ESAT-J)の結果を活用することとしました。
――今年の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)でも、中学英語で「1人1台端末」を使ったスピーキングテストが行われました。ESAT-Jの導入については、賛成・反対などさまざまな意見、反響がありましたが、なぜ「スピーキング」なのでしょうか。
読み、書き、聞くという技能に、話す技能を加え、必要な場面で英語が使えるような人材を育成したいと考えています。日本人は国際会議に出ると「3S」とよく言われます。その3Sとは「スマイル」「スリープ」「サイレント」を示しています。つまり笑顔か、寝ているか、発言をしないということで、海外の方からは日本人は何を考えているのかわからないと思われがちです。G7などでも通訳を付けている閣僚は、残念ながら日本だけの場合も少なくありません。日本の国際競争力が落ちているのはスピーキング能力が低いことが大きいと考えています。スピーキングは交渉そのものであり、人間同士の付き合いでも必要なものです。
これからスピーキング能力を高めていくためにも、東京都では都立高校の入試だけでなく、中学1年生、2年生でもスピーキングテストを実施していきます。全国学力テストでもスピーキングテストが導入されましたが、これからの教育の柱として英語力、中でもスピーキングに力を入れていきたいと思っています。

東京都知事
1952年兵庫県生まれ。76年カイロ大学文学部社会学科卒業。帰国後、アラビア語通訳・講師として活躍。その後、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の初代キャスターを務める。40歳のときに参院選に出馬し、92年7月参議院議員。93年7月衆議院議員。2003年9月環境大臣。04年9月内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)兼任。06年9月内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)。07年7月防衛大臣。10年9月自民党総務会長。11年10月予算委員会理事。16年7月東京都知事。現在2期目