小池百合子都知事「所得制限なし月5000円給付」に続く子育て・教育施策の中身 「チルドレンファースト社会」の実現に1.6兆円

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少子化、子育ての課題については、未婚化や晩婚化、女性の高学歴化などさまざまなテーマがあります。テーマが幅広いがゆえに、いざ施策を始めようとすると「フィンランドでは〜」とか「フランスでは〜」のように、他国の取り組みばかり研究する方がでてきます。これを私は「では錦(にしき)」と呼んでいます。さらに、「未婚よりも晩婚化が問題」といった「~よりも~が問題だ」のように議論が百出してまとまらない。「よりもの助」で、時間ばかりが過ぎていきます。

つまり、この国はずっと議論ばかりしている。何もやっていないわけではないけれど、子育ての強い後押しにはなっていない。だからこそ、都ではチルドレンファーストを目指して、パッケージとしてサポートしたいと考えています。

――国やほかの自治体の子育て支援策の現状をどのように見ていますか。

こども家庭庁を立ち上げるなど、国も積極的に子育て支援に取り組もうとしています。私は国会議員の時代から、ずっと子育てや女性参画について問題意識を持ち、活動をしてきました。当時は子育てといえば、マイナー政策の扱いでしたが、会議を開くと多くの省庁が顔を並べます。しかし、中心となる省庁がなかった。それが今やメジャー政策となり、担当省庁もでき、議論だけをしている段階は終わりました。

すでに生産年齢人口(15〜64歳)が激減していることに加え、そもそも合計特殊出生率(15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの)の対象となる女性の人数(母数)も減少しているため、人口が加速度的に減少する懸念もあります。環境用語では一定の条件を超えると一気に現象が広がる時点をティッピングポイントというのですが、その転換点を少子化が迎えないうちに、今こそ手を打たなければならないタイミングに来ていると考えています。

――東京都ならではの課題、東京だからこそ取り組むべきことはありますか。

東京には子育ての際の孤立感や負担感の解消、育児と仕事の両立の難しさ、未婚化、晩婚化などさまざまな課題がありますが、これからもきめ細かく、かつ大胆にサポートしていきたい。実際、待機児童問題については、私が都知事に就任した2016年当時は待機児童数が8500人ほどいましたが、今では300人程度にまで激減しています。

社会が変化し、女性の働き方や雇い方が変わっていく中、育児休業も普及しつつあります。しかし、男性であれ、女性であれ、休業という言葉が付いていると取りづらい気持ちになるものです。こうした意識を変えるためにも、東京都では育児も「業」であると考え、育児休業の愛称を公募し、新たに「育業」と名付けました。男性の育児参画も促して、社会全体の意識改革を進めてまいります。

東京都では育児も「業」であると考え、新たに「育業」と名付け、男性の育児参画も促す

また東京都の特徴として人口に占める若年層(15~34歳)の割合が高いことが挙げられます。まさに結婚適齢期の若者が多いわけですが、アンケート調査によれば、結婚に関心がある若者のうち、婚活を行っていない方が7割もいることがわかっています。そのため、都では今年度から「AIマッチング」を始める予定です。さらに、都が保有する施設を活用した交流イベントの開催や、民間と連携したマッチングも行っていきます。

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