なぜ経済予測は間違えるのか? デイヴィッド・オレル著/松浦俊輔訳
経済学は予測の学問ではない。だが、金融危機やその後の世界不況を予測できなかったことから、期待はずれとの声をしばしば聞く。しかも今回は、経済的リスクが統計学を用いて管理できなかったうえに、その数理モデルが危機を引き起こすのを助長していた。それだけ、学問としての科学性が問われることなった。
著者は、経済学は人を幸福にする目的を外れて、今や不公平を助長し、経済そのものを不安定化させ、その持続さえ不可能にしていると考える。しかし、現在の主流派経済学には、そのいずれの問題点も処理する「手段がない」という。
もともと「経済学の規範となっている数学・物理学・生物学の理論モデル」は、一時代前のものに依拠し、経済学を生き返らせるには新しい思想が必要と主張する。たとえば「宇宙の法則」から格差を、「蒸気機関のしくみ」から消費を解明してみせる。
気鋭の数学者による知的刺激に満ちあふれた書。
河出書房新社 2520円
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