半導体産業はグローバル化ではなく「台湾化」した 『半導体戦争』など書評3冊

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』

・『価値論 人類学からの総合的視座の構築』

・『渡り鳥たちが語る科学夜話』

『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』クリス・ミラー 著
『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』クリス・ミラー 著/千葉敏生 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・経営共創基盤共同経営者 塩野 誠

半導体の集積密度は2年でほぼ2倍になる──。この「ムーアの法則」を1965年に発表した米インテルの共同創業者、ゴードン・ムーアが今年3月に亡くなった。人類のつくった技術に半導体ほどのスピードで進化したものはほかにない。60年前の半導体チップのトランジスタ数は4個だったが、今では118億個だという。現代のスマホや車は半導体の塊だ。

半導体産業に起こったのはグローバル化ではなく「台湾化」

80年代にはすでに半導体は現代の原油だと考えられた。近年ビッグテックが激しい競争を繰り広げる人工知能開発は半導体の計算能力を前提とする。本書は半導体をめぐる研究者、企業、国家のすさまじい戦いの歴史を描いた大著である。それはまさに企業の栄枯盛衰、イノベーションとそのジレンマ、はてしなく複雑化するサプライチェーンの奪い合いの歴史だった。

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