映画「スーパーマリオ」北米で大ヒットの納得理由 続編ではないアニメ映画では史上最高の出だし

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ディズニーが過去に劇場公開した5本のアニメ映画は、チケットの売れ行きが期待外れだった(昨年は 『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』と、『バズ・ライトイヤー』、パンデミックの影響を受けた2021年は 『ミラベルと魔法だらけの家』『ラーヤと龍の王国』『ロン 僕のポンコツ・ボット』)。

「ファミリー映画(の復活)にはまだ疑問符がつく」とグロス氏は指摘する。ディズニーは今後、2本のアニメ映画の公開を控えている。住民が火、水、土、空気でできている世界を舞台にした『マイ・エレメント』は6月に、少女と空から降ってくる星についてのミュージカル『ウィッシュ』は11月に公開予定だ。

子どもたちを映画に連れて行くと、ニューヨークでは家族4人で110ドルもする。しかも、ポップコーン(小9.29ドル)やソーダ1本(7ドル)抜きで。また、パンデミックの間、家族は新しいアニメーション映画を自宅で見ることに慣れていた。

ディズニーは、映画館を完全にスルーして、『あの夏のルカ』『私ときどきレッサーパンダ』『ソウルフル・ワールド』といったピクサー作品を配信サービスでリリースした。こうした映画は、すでにDisney+(基本版は月8ドル)に加入している人なら「無料」に思えるかもしれない。

週末の北米のおける興行収入は、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』があっさり1位となり、2位はかなり接戦で『John Wick: Chapter 4(原題)』(ライオンゲート)、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(パラマウント)、『AIR/エア』(アマゾン)で、それぞれ興行収入は約1400万ドルだったとみられる。

入念に仕掛けをしていた

しかし、この週末は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のものだった。この映画は、ある特定層の間では、文化的なイベント、あるいはグロス氏が言うところの 「映画鑑賞における緊急行動」のように感じられたのだ。

が、これは偶然ではない。ユニバーサルのマーケティング担当者は、テレビで放映されたスポーツイベント(NFCチャンピオンシップ、NBAオールスターゲーム、スーパーボウルなど)にプロモを流し、人気トークショー「The Tonight Show」で映画の声優陣(クリス・プラット、アーニャ・テイラー・ジョイ、キーガン=マイケル・キー)がマリオのテーマソングを歌う演出を計画した。

ユニバーサルが世界に展開するテーマパークも火付け役となった。ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドは最近、マリオ兄弟が登場する豪華なテーマの拡張施設「スーパー・ニンテンドー・ワールド」をオープン。同アトラクションは大成功を収め、2月17日のオープン以来、早期入場券は連日完売している。

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