学校で「なぜ本を読むのか」のサポートが必要、子どもが本嫌いになる3大理由 いかに本を自分の武器として使うかを学ぶべき
また学校においても、GIGAスクール構想により図書館は「読書センター」から「情報学習センター」としての機能強化が求められている。小・中学校の児童生徒1人に1台の端末が整備され、子どもたちの学び方が変わってきているからだ。だが、その学校図書館が使われなくなっているケースが多いと田口氏は憂う。
「文部科学省が指定する学校図書標準の条件をクリアするために、古い本の廃棄が進まずに蔵書の更新ができていない図書館が多くあります。情報センターとしての機能を強化するには更新が重要ですが、文科省も学校図書標準の達成率だけを見ている。また国も学校図書館に予算を付けていますが、自治体で採択されなければ予算化されないためにほかの財源に回されている場合が少なくありません。そんな中で学校図書館は、情報センターになることが求められているわけです。子どもたちに新しい情報での学びを提供することは必要不可欠。私たちもNPOを通してサポートを続けていきたいと思っています」
図書館に足を運ばなくなった理由としては「読みたい本がない」という回答が多いという。これは学校図書標準に定められた充足率が、蔵書の更新を妨げていることの弊害とも考えられる。「子どもたちに『古い本への興味』を持たせることは非常に難しく、そうであるならばなおさら『新しい本』との出合いを増やしていく必要がある」と田口氏は指摘する。
公共図書館をはじめ学校図書館でも電子書籍を整備する学校が出てきているが、スペースに限りのある学校図書館では多くの蔵書を持てないことから、電子書籍が普及していく可能性は高い。また現在、段階的に整備されているデジタル教科書も、2025年には普及率100%が目指されており、学校現場にデジタル教材がどんどん入ってくるだろう。
「電子書籍は今後、当たり前になっていくでしょう。しかし、紙の本でしか学べないことも明確にする必要があると思っています。私がこの活動を始めたのは書店員時代、読者という存在が将来いなくなってしまうのではないかという危機感があったから。本を読みなさいというのではなく、その向こうにいる読者を育てていく。読書は人づくりです。読書がいかに人生に役に立つのか。その魅力をこれからも子どもたちに伝えていきたいと考えています」
(文:國貞文隆、注記のない写真:すべて新文化通信社提供)
東洋経済education × ICT編集部
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