三菱ガス化学のスマートフォン向け基幹部材は5月に震災前の生産規模に復旧へ【震災関連速報】
三菱ガス化学は、電子材料「BTレジン」の生産を4月上旬に一部再開、5月初旬には東日本大震災前の需要を満たす水準まで生産能力が回復する見込みだ。
4月上旬の復旧当初は東日本大震災前の25%程度にとどまるとの見通しだったため、BTレジンの需要がとくに強いスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレットPCなどのモバイル機器メーカーの調達難も懸念されたが、BTレジン発の生産停止という事態はどうやら避けられそうだ。
BTレジンは子会社のエレクトロテクノ(福島県西郷村米字椙山)が生産している。エレクトロテクノは震災の影響で設備の一部などが被害を受け、震災直後から操業を停止しているが、4月上旬に第一段階の復旧として部分的ながら生産し、1カ月ほどでピークの水準まで戻す。
BTレジンは、ガラスクロス(布基材)にBT樹脂と呼ぶ三菱ガス化学の独自樹脂を含浸させ、両面に銅板を積層した部材。銅張積層板の一種で、日立化成工業や住友ベークライト、パナソニック電工などが競合だ。三菱ガス化学グループは、この分野で世界シェア約6割を押さえるトップメーカーである。
BTレジンはBT樹脂の特性から耐熱性が高く、電気特性に優れる。搭載機器を薄くするのにも適しており、スマートフォンやタブレットPC向けに高いシェアを持っていると推定される。その生産が1カ月近く止まるうえ、再開後も当初は生産量が大きく落ちる事態は、川下のスマートフォンやタブレットPCメーカーの懸念材料だった。一時的には需給が逼迫する局面があるかもしれないが、時間を追って解消しそうだ。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら