日銀の「岸田リスク」は消えていないかもしれない 植田日銀で為替は「1ドル=120円」に向かう

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「為替レートの予想はエコノミストの墓場である」と言われるくらいだから、数字を挙げるのは自殺行為なのだが、年内に1ドル=140円を超える円安になるよりは、同120円に迫る円高が起こるほうを予想してみたい。

競争力から考えた水準としては、1ドル=120円は日本の産業にとって十分な円安の範囲内だ。他方、一時の円安と比較すると「安いニッポン」の多少の解決でもある。物事がこれくらいに収まれば、植田日銀としては無難な船出だ。

金融政策の何が問題なのか

さて、約10年に及んだ黒田総裁時代の日銀の金融政策は、どう評価されるべきで、今後にどう生かされるべきなのか。

読者は、『週刊東洋経済』の特集「日銀 宴の終焉」(1月21日号)と題する大特集をぜひ入手して読んでみてほしい。同号はエコノミストや投資家にとって永久保存版的な特集号だ。

日銀の幹部と呼ばれるような人々や取り巻きのエコノミストが、何に関心があって、どの程度のレベルの議論をするのかがよくわかる。中でも、白川方明前総裁の10ページにわたる寄稿と、翁邦雄氏、岩田規久男氏へのインタビュー記事(76~77ページ)が必見である。

翁、岩田両氏は「反リフレ派」と「リフレ派」を代表する論客として過去にも論争があった間柄だが、両氏の発言を照らし合わせると何が問題だったのかがよくわかる。

翁氏は、金融緩和だけでは物価が上げられなかったことが事実によって示されたとリフレ派を批判する。金融緩和「だけ」で効果があるか否かに批判の焦点を絞るのは反リフレ派の立論の常套手段だが、確かに金融政策「だけ」では2%のインフレ目標は達成できなかった。追加の通貨供給が効果を生まなくなる、ケインズの言う「流動性の罠」的な状況は存在した。

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