虎ノ門「2つのヒルズ」期待と不安が交錯する事情 森ビルの大量供給で激しいテナント争奪戦
虎ノ門エリアを大きく変貌させる森ビルの大規模再開発プロジェクトが今秋始動する。だが、オフィスフロアの稼働に先行き不透明感が増している。外資系大手企業によるオフィス移転の動きが鈍化したためだ。
「あれほどの大型ビルが、果たして年内に満床になるのだろうか」。デベロッパーやオフィス仲介の多くの関係者が、こう言って固唾をのんで見守るのが、大手デベロッパーの森ビルによる大規模再開発プロジェクトだ。
2023年秋、東京都港区では2つの「ヒルズ」が開業する。
1つ目のヒルズは、東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅に直結する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(以下、ステーションタワー)だ。オフィスビルや商業施設などが入居する大型の複合施設(地上49階・地下4階、高さ約266メートル)であり、延べ床面積は約23.6万平方メートルにのぼる。
2つ目のヒルズは、ステーションタワーと同時期に開業する「麻布台ヒルズ」だ。こちらも約1400戸のマンションを擁するほか、オフィスや商業施設、ラグジュアリーホテルの「ジャヌ東京」が入居する大型複合施設(総延べ床面積は約86.1万平方メートル)である。オフィスなどが入居するA街区(地上64階・地下5階、延べ床面積は約46.1万平方メートル)の高さは約330メートルにのぼり、竣工時点では日本一高いビルになる。
首都圏では、2023年に大量のオフィスが供給される計画だ。その中心とも言える虎ノ門エリアでは、2つのヒルズが誕生することでエリア全体の活性化が期待される。ところが、虎ノ門エリアのオフィスについては、その先行きに楽観視できない側面がある。
ステーションタワーの主要テナントは
「世界中からヒト・モノ・カネを引きつける磁力のある都市を目指している。交通インフラを整備するとともに、オフィスや住宅などグローバルプレーヤーが求める機能を、徒歩圏でコンパクトに集約しないといけない」。森ビルの辻慎吾社長は2023年1月24日、メディア向け発表会の場で、こう語った。
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