「違法との認識はなかった」元SMBC日興役員が激白 元エクイティ本部長のトレボー・ヒル氏を直撃

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インタビューに答えたトレボー・ヒル氏。逮捕された2022年3月4日は引っ越しをした日で、新居に検察官が突然やってきて驚いたという(記者撮影)

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「普通の生活に戻れるなら、またSMBC日興で働きたい」。金融商品取引法違反(安定操作)に関与した疑いで逮捕・起訴されたトレボー・ヒル被告(51)は、東洋経済が行ったインタビューでそう語った。
2022年3月に契約延長を留保、同10月に契約は更新されず事実上解任された。逮捕される前の聴取の様子や「安定操作」という違法行為に関与したとされた事件への考えを語った(インタビューはすべて日本語で行った)。

――ブロックオファーの対象銘柄を自己勘定で買うことについて、違法だという認識はなかったのですか。

コンプライアンス部門の判断を信じていましたし、違法な取引であるという可能性すら考えたことはありませんでした。

あまり明らかになっていないことですが、(2019年12月に)小糸製作所株で自己勘定取引を行った後、コンプライアンスや内部管理の担当者が社内で会議をしています。当時私は休暇で日本にいなかったので、帰国してからそのミーティングの説明をしてもらいました。私が部下に「コンプライアンスに問題はないか」と言ったところ、「まったく問題はない」という返事がありました。

小糸製作所株は自己勘定取引の対象にしてはいけない銘柄のリストにも入っていませんでしたし、入れるべき銘柄でもありませんでした。

それから、対象の自己勘定取引では確認した時点で6割ぐらいの取引で利益が出ており、4割ぐらいでは損失が出ていました。100%儲かる取引は何かがおかしいし、逆に継続的に損をしていればなにか違うモチベーションでこの取引をやっているのではないかと疑うべきです。しかし一連の取引にはそうしたことはありませんでした。

そのため、ブロックオファーの対象銘柄を自己勘定で買うことについて、問題だという認識はまったくありませんでした。また、業績のためにやったと言われていますが、ブロックオファーをやっても私自身の業績にはプラスになりませんでした。

業績のためにやっていないと言える理由

――どういうことでしょうか?

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