アニメ強化に猛進の東宝、先行く東映と意外な差 東映アニメは海外で売り上げの過半を稼ぐ
年間興行収入で国内断トツ首位の東宝と2位の東映。しかし市場拡大の続く日本アニメの海外展開に関しては、東映独自の強みがある。
創業から90年余り、映画・演劇の盟主が新境地に踏み出そうとしている。
国内映画会社で興行収入断トツ首位の東宝にとって、2022年は節目の年だった。創業90周年を迎え、創業者・小林一三のひ孫に当たる松岡宏泰氏が同年5月社長に就任。創業家出身のトップは、27年ぶりのことだ。
業界の注目を集めたのが、社長交代に先立って公表された長期ビジョンだ。創業100周年に向けて、これまで映画・演劇・不動産を柱としてきた中核事業に、4本目の柱としてアニメを打ち立てる方針を明記したのだ。アニメを成長ドライバーと位置づけ、中でも海外展開に注力するとしている。
コロナ禍で実写映画や演劇の収入が大きく落ち込む中、ヒット作が続いたアニメは不動産事業に次ぐ頼みの綱となっていた。2020年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(東宝/アニプレックス配給)は興行収入が400億円を突破し、国内では歴代トップの映画となった。
松岡社長は「エンタメ業界が厳しい状況にあってもアニメは伸びており、そこを攻めるという決断ができた。東宝が海外展開をしていくうえで、アニメビジネスは最大の武器になりうる」と強調する(松岡社長のロングインタビューはこちら)。
快進撃を続ける東映のロングシリーズ
近年は海外における日本アニメの成長が著しい。日本動画協会の調査によれば、日本アニメの海外市場規模は国内と同程度にまで拡大し、2020年には海外が国内を一時的に上回った。これまでアニメについては直営での海外展開に消極的だった東宝も、今後の会社の成長余地を考えると無視できない領域となっている。
しかしその土俵では、先を行くライバルが存在する。東映の子会社で、アニメ制作から営業までを一貫して手がける東映アニメーションだ。子供向け作品に強みを持ち、国内外で数多くのファンを獲得してきた。
2022年の年間興行収入では東宝と倍近い差がある東映だが、実はアニメの海外展開に関しては、東宝にはない2つの強みを持つ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら