東宝が「次のゴジラ」を託したアニメ戦略の全貌 創業家出身の新社長「世界的IPを生み出したい」

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2022年、27年ぶりに創業家出身のトップが誕生した東宝。アニメを新たな成長ドライバーに掲げた真意はどこにあるのか。松岡社長に聞いた。

2022年に創業90周年を迎えた東宝。創業者のひ孫に当たる松岡社長は、創業家出身者としての「言葉の責任」があるとも語った(撮影:今井康一)
『ゴジラ』を筆頭に数々のヒット作を送り出してきた東宝が、大きな岐路を迎えている。
従来、東宝の収益を支えてきたのは、映画、演劇、不動産の3本柱だった。それを2022年4月に策定した「TOHO VISION 2032」では、これまで映画のカテゴリーに含めていたアニメを、4本目の新たな柱に据えると発表。今後はアニメを成長ドライバーに、IP戦略や海外展開を強化する方針を打ち出した。
その旗振り役を担うのが、2022年5月に就任した松岡宏泰社長だ。創業者である小林一三のひ孫に当たり、元プロテニス選手、松岡修造氏の兄でも知られる。
27年ぶりの創業家出身のトップの下、どのようにしてアニメで世界市場を攻略するのか。松岡社長に聞いた。

アニメをゴジラのように海外展開したい

――コロナの発生からおよそ3年が経過しました。コロナは東宝にどんな影響を与えたのでしょうか。

エンタメビジネスはコロナに対して非常に弱かった。実際に演劇は今でも苦労しており、映画も回復基調にあるものの、コロナ前の状況には戻っていない。

一方でコロナを通じて、われわれの強みを改めて認識することができた。1つは、業績が安定している不動産という土台があること。もう1つは、エンタメ業界が厳しい状況にあってもアニメが伸びており、そこを攻めるという決断ができたことだ。

――2022年に発表した長期ビジョンでは、アニメを強化し、中でも海外市場に注力することを明記しています。

アニメが大きく成長している状況を勘案すると、「映画」という区分の中で考えるのではなく、アニメは「アニメ」として切り分けてもいいのではないか、という経営判断があった。

アニメの収益について分析したところ、想定以上に大きな比重を占めていたのが海外だった。それを考えると、東宝が海外展開をしていくうえでアニメビジネスは最大の武器になりうる。

――ただ、東宝はこれまで海外ビジネスを積極的に展開してきませんでした。具体的にどう攻めていく考えですか。

東宝はこれまで、現地で良いパートナーが見つかれば、「後は頼むよ」というやり方だった。そのほうが人数も少なく済み、複雑にならずリスクも抑えられるという利点があったからだ。

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