新日本製鐵は釜石製鉄所の再開メド立たず、君津は再開済み【震災関連速報】
国内高炉最大手、新日本製鉄の釜石製鉄所(岩手県釜石市鈴子町)は、大震災の影響で港湾設備が復旧せず、操業再開の見通しが立っていない。
同製鉄所は地震直後の津波で、母材の入荷や製品出荷に使う自社港湾設備が損壊。ようやく被害状況の調査を始めた段階で復旧の見通しが立っていない。ただ、工場は海から離れた内陸にあり、津波の影響は一部設備が冠水したものの限定的。構内にいた人員に被害はなかった。現在は、非番だった同社、グループ会社、協力会社の社員や、その家族の安否を最優先で確認している状況だ。
釜石製鉄所には高炉や製鋼などの上工程はなく、製造するのはタイヤの補強材(スチールコード)向けを中心とした線材。港湾設備中心に復旧には日数を要するため、当面の操業再開のメドが立たない。このことから、同じ線材工場のある室蘭や君津、さらに関西にあるグループ会社(NS棒線)での代替生産を始めている。特に、釜石の主力製品だったスチールコード用は、君津での代替が始まっている。
また、同社最大の生産拠点である君津製鉄所(千葉県君津市君津)は、地震直後に高炉への送風を停止していたが、13日までに再開。高炉ガスは火力発電所のエネルギー源となり、発生電力は消費電力を上回るため、高炉の稼働率を通常まで戻し、東京電力への電力供給を優先させている。一方、電力消費の大きい圧延などの下工程は節電しながらの操業となっている。
なお、新日鉄では、被災地域である仙台と釜石中心に義援金5億円の拠出を決めている。
(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)
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