チャート分析も経済指標も米国株弱気派に真実味 S&P500種株価指数で4000を巡る攻防がカギ握る

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S&P500種株価指数のチャート分析、注目度の高いオプション指数からうかがわれる自己満足、相次いで示される経済の軟調さ。これらはいずれも株価上昇が失速しつつあることを裏付ける。

18日の米国株は今年初の2営業日続落となった。経済成長や今後の利上げ幅を巡る懸念が再び高まったためだが、それは弱気派にとって以前からの材料だ。弱気派はS&P500種で一時4%に達した今年の株価上昇がどんなに快調であっても長くは続かないと主張している。

マイケル・ウィルソン氏らモルガン・スタンレーのストラテジストはリポートで、「弱気相場は鏡の間のようなもので、投資家を混乱させ資金を奪う構図だ」とした上で、「ファンダメンタルズ重視を継続し、偽の反射像を無視するよう助言する」と論じた。

  

S&P500種は今週、4000付近で200日移動平均に一時達したが、2営業日続落でその水準を大きく超えられなかった。フィデリティ・インベストメンツのジョン・ガグリアルディ氏によると、同指数が200日移動平均からの上放れを試す動きはここ約1年で5回目。

同氏は今週、ブルームバーグテレビジョンに対し、5回目は分からないが「他の4回の試みは成功しなかった」と語った。同指数は18日に約3929で終了した。

18日にS&P500種は1.6%、ナスダック100指数は1.3%それぞれ下げた。弱い経済データを受け、成長見通しを巡る懸念が再燃した。

ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「米経済データは予想より低調となり、ついに米利上げが経済に効果を及ぼしているとの懸念が拡大しつつある」と論じた。

  

   13日にS&P500種は終値ベースで200日移動平均を上回ったが、持続しなかった。この重要なレベルを大きく上回るまでは、直近の試みがまた上昇局面につながらないのではないかとテクニカル分析の担当者は不安な気持ちをぬぐえないと、ベスポーク・インベストメント・グループのストラテジストらは今週のリポートで指摘している。

ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏によると、現在の200日移動平均には二つの重要な要素がある。4000というこのレベルは心理的に重要な数字であることと、22年の最高値からのトレンドラインが集中する水準付近であることだ。

メイリー氏はインタビューで「それらはいずれも4000付近で重なるため、テクニカル上、非常に重要なレベルだ」とし、「2,3日中に立ち直ってこの水準を上抜けできなければ、問題になるだろう」と語った。

トゥルーイスト・ウェルスのキース・ラーナー共同最高投資責任者(CIO)は4100を当面の重要な節目とみていると述べた。ブルームバーグのポッドキャストで「この水準を上回ることができれば、テクニカルトレンドは改善すると思う」とした上で、「だが今のところはそこに至っていない」と話した。

原題:Bruised Stock Bears Bust Out the Charts in Arguing the Top Is In(抜粋)

--取材協力:、.

(6段落目以降を追加して更新します。)

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著者:Vildana Hajric、Katie Greifeld

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