名鉄が描く「名古屋駅大改造」の青写真とは? 百貨店、グランドホテルの将来像を独自予想

拡大
縮小
画像を拡大
名鉄が公表した用途構成案(名鉄資料より抜粋)

名鉄グループの看板ホテルである名鉄グランドホテルをどうするか、という問題もある。これについて、山本社長は「フラッグシップホテルにするために、外資との提携を検討することもありうる」と語った。

JR名古屋駅にはマリオットアソシアホテルが入居しており、高い稼働率を誇る。名鉄もリッツ・カールトンやコンラッド級の超高級ホテルと提携して、エリア最高峰のホテルを目指すという手はある。

「名鉄博物館」でナゴヤらしさを満喫?

事業戦略案では、再開発エリアにおいて「新たなナゴヤ文化」を形成することを目指すという。この点については「オフィス、ホテルだけでは味気ない」(山本社長)として、文化・娯楽系の施設が入ることをにおわせた。

名鉄百貨店内には名古屋有数の劇場である「名鉄ホール」が併設されているが、老朽化のため3月末で閉鎖される。新たな劇場ができるかどうかは未定だ。あくまでも仮定の話だが、名古屋を訪れた人に「ナゴヤらしさ」を満喫してもらうのであれば、「名鉄博物館」を開設するのも一案だろう。

画像を拡大
名鉄が誇る、日本初の前面展望列車「パノラマカー」(撮影:梅谷秀司)

名鉄は、前面展望列車「パノラマカー」や跨座式モノレールを日本で初めて導入した、進取の気性にあふれる会社だ。これらの車両は社内に保存されているが、人目に触れる機会は多くない。

この際、博物館を作って展示するのは検討に値するだろう。「鉄道王国ナゴヤ」を目指す河村たかし・名古屋市長の方針にも合致する。

2000億円ともいわれる総事業費は、名鉄にとって過去最大規模の投資となる。だが、JR東海のリニアばかりが注目される名古屋にあって、名駅再開発は名鉄の存在感を全国に示す好機であるに違いない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT