終わらない「かんぽ問題」、社員の解雇に無効判決 日本郵便が行った懲戒解雇に裁判所がノー

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かんぽ生命の不適正な営業を理由に解雇された男性が無効を訴えた裁判。結果は原告側の勝訴。年明け以降、解雇無効を訴える裁判の判決が控えており、日本郵政の処分のあり方が問われる可能性もある。

2022年12月8日に札幌地裁で判決が出た翌日、かんぽ生命は社内で「報道に関する社内周知」と題した文書を出し、「本件訴訟に関する基本的な考え方」として説明を行っている(編集部撮影)

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「解雇事由が存在するとは認められない」――。12月8日、札幌地方裁判所の中野琢郎裁判長は日本郵便が行った社員の解雇を無効とした。

原告は郵便局に勤務していた40代男性だ。男性は主にかんぽ生命保険の募集をする渉外社員だった。保険業法や就業規則に反したとして、被告の日本郵便はこの男性を2020年9月30日付で懲戒解雇していた。

札幌地裁はこれを無効としたうえで、解雇から現在までの月給や賞与の合計1698万円に遅延損害金を加えた全額を男性に払うよう、日本郵便に命じた。

かんぽ生命の不適正募集に絡んで最も処分が重い「懲戒解雇」となったのは28人。そのうち6人が裁判で解雇の無効を争っている。冒頭の男性はそのうちの1人。2023年1月26日には金沢地方裁判所で判決が出る予定で、2023年の夏頃までにはすべての一審判決が出る見通しだ。

「深掘調査」で多数契約が槍玉に挙がった

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