管理費UPは不可避?マンション住民襲う値上げ 駐車場の契約数減、管理委託費アップも影響
日常の出費にあたる管理費会計では、管理費以外にも収入源がある。駐車場やバイク・駐輪場などの使用料、専用庭・ルーフバルコニーの専用使用料、集会スペースの使用料などの収入が得られる。契約者の増減の影響はあるものの、毎年一定の収入が見込める部分だ。
支出項目については、管理会社に支払う管理委託費、共用部分の電気水道料、それから火災保険料、管理委託費に含まれない保守メンテナンス費、小修繕費などの項目が挙げられる。
小修繕費は大規模修繕とは別の、比較的小規模な故障修理や修繕に関する支出のことで、例えば共用部の電球交換、給水ポンプなどの不具合対応が当てはまる。比較的低コストで収まる場合が多く、予算範囲内で行うケースが多い。そのため、管理費会計は原則、「値上げはない」という前提で運営される。
修繕積立金は分譲当初安く設定されていることも
一方で積立金会計の収入は、修繕積立金がメインとなる。また管理組合によっては、駐車場の使用料の一部や管理費会計の剰余金を繰り入れるところもあるだろう。
支出については、年々増えていくのが積立金会計の特徴でもある。マンションは経過年数ごとに劣化し、数々の修繕項目が出てきてしまうからだ。
加えて、修繕積立金に関しては、分譲当初は安く設定されている場合が多い。そのため積立金会計に関しては、支出が増加するのはやむを得ない部分もあるのだ。だからこそ、修繕積立金が不足しないよう、建物の現状を把握したうえできめ細かな長期修繕計画の組み立てを行う必要があるだろう。
しかし昨今は、日々の出費部分である「管理費会計」区分の収支がマイナス、赤字に陥る可能性が生じている。原則として値上げを想定してこなかった管理費会計区分に値上げの危機が迫っているのだ。
管理費を値上げしなければならない状況とは、当然ながら収入を支出が上回るという事態が起こっていることになる。その要因は、大きく分けて次の3つとなる
【要因1】駐車場の契約台数の減少
順に説明していこう。1のマンションの駐車場の「空き」について、頭を悩ませている管理組合は少なくないのではないだろうか。特に都市部において、マイカー所有率は減少の一途をたどっており、車離れが社会問題化して久しい。
また分譲当初は小さなお子さんがいた家族も、その成長に伴い自家用車が不要となるなどライフステージの変化も車を手離す要因となっている。原油高によるガソリン代の高騰などが続けば、車離れは今後さらに加速する可能性が高い。つまり駐車場の契約台数がますます減り、管理費会計収入が減っていくことが予想される。
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