ブックオフが「中古スマホ」を買い取る理由 大手携帯会社の下取りと真っ向勝負

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本だけでなく、携帯の買い取りを強化するブックオフの狙いとは?(撮影:今井康一)

各社が個人ユーザーからの買取に力を入れる中、ブックオフは今年2月、端末の買い取りと組み合わせた新たなサービスを打ち出した。07年以降に製造された端末を下取りに出せば、新品のSIMフリースマホ(台湾エイサー製)をゼロ円で販売するという仕組みだ。

 現在、同社で中古端末を購入するのは、MVNO(通信会社から通信網を借りてサービスを提供する業者)の安価なサービスと中古端末を組み合わせて利用する、通信に詳しいユーザーだ。

一方、大半のユーザーは大手携帯会社と契約して、新規種に乗り換え続けているため、中古品とは無縁だ。だが、市場の裾野を広げるためには、こうしたユーザーとの接点をいかに増やせるかが今後のポイントになってくる。そのため、新しいサービスでは店頭に中古スマホを持ち込めることや、通信サービスと端末を組み合わせて安く使える点をアピールする必要があった。

今回はデータ通信サービスと新品スマホを組み合わせて提供するものの、「いずれ中古品を使ってもらうことで、スマホの多くが再利用されるサイクルを作っていきたい」(事業開発部長の土橋武氏)というのがブックオフの真の狙いだ。

SIMロック解除のインパクト

目下、中古業者が注目するのはSIMロック解除の義務化だ。SIMロックとは、通信事業者が他社の通信網で使えないように制限するもの。総務省は5月以降に発売される端末について、この解除を義務化する方針を打ち出している。

ソフマップは中古端末と親会社のビックカメラが取り扱う通信サービス(インターネットイニシアティブが提供)の組み合わせを店頭でアピール。ゲオも中古端末とMVNOの通信サービスを軸に差別化を進める考え

ロックの解除によって、ユーザーは通信サービスを自由に選べるようになるため、安さがウリのMVNOのサービスが一段と伸びる可能性がある。また、安さが武器の中古スマホも注目されるだろう。

ユーザーが自由に通信サービスを選ぶようになると、大手携帯会社は顧客を囲い込むことが難しくなる。すると、長期契約を前提とした端末の販売奨励金が減り、新品の値上げにつながるといった見方もある。そうなれば中古の割安感が注目され、販売拡大の追い風になりうる。

MM総研によれば、国内の中古スマホ市場は13年度の141万台から18年度は326万台に拡大する見込み。同社の篠﨑忠征氏は「量販店では3万円以下のSIMフリー端末が人気で、MVNOのサービスと共に使われている。今後はより安い中古端末も徐々に意識されるようになる」と分析する。

まだ始まったばかりの国内中古スマホ市場だが、普及に向けた条件は着実に揃いつつある。絶大なシェアを握る大手携帯会社としても、決して無視できない存在になりそうだ。

「週刊東洋経済」2015年3月28日号<23日発売>「核心リポート01」に加筆)

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