人類は11月15日に第3次世界大戦勃発の危機に直面していた。この危機のきっかけになったのが、米AP通信の「スクープ」だった。
AP通信は(11月)15日、匿名の米高官の話として、ロシアのミサイルがウクライナの隣国ポーランドに着弾し、2人が死亡したと伝えた。(11月16日、「朝日新聞デジタル」)
NATO(北大西洋条約機構)条約第5条は「欧州または北米における1または2以上の加盟国に対する武力攻撃は全加盟国への攻撃と見なす」と定めており、NATO加盟国が個別的または集団的自衛権を行使し、兵力の使用も含めて支援すると規定している。AP通信の報道が全世界を駆け巡り、国際情勢が緊張したが、実はこの報道は「飛ばし」(誤報)だった。AP通信は誤報を認め、この記事を書いた記者をクビにした。
AP通信は22日、ポーランドに「ロシアのミサイル」が15日に着弾したと報道したのは「言語道断の誤り」だったとして、記事に関与した安全保障担当の記者を解雇したと公表した。APは匿名の米情報機関高官の話として「ロシアのミサイル」と速報。ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国で、報道を受け、ロシアとNATOとの紛争に拡大するとの緊張が急激に高まった。
実際に着弾したのは、ロシアのミサイルを迎撃するためウクライナ軍が発射したとの見方が有力。バイデン米大統領も、APの報道後に「ロシア側から発射された可能性は低い」と述べていた。(11月23日、共同通信)
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